『天気の子』 異常こそ普遍

 家出少年が、不思議な力を持つ少女と出会って、余計にこじらせる話。


 異常気象によって、長い間雨が降り続けている東京が舞台。


 家出してきた少年は、年齢を偽って東京で働こうとしていた。

 船から落ちそうになったところを中年男性に助けられる。

 その縁で、彼の元で働くことに。

 中年は、オカルト雑誌の編集長だ。


 100%の確立で雨が止む晴れ女がいるという情報を手に入れたが、手がかりなし。


 だが、主人公が路地裏で助けた少女こそ、件の晴れ女だった。


 彼女も母親が他界し、弟と二人暮らしだった。

 生活はギリギリ。


 そこで主人公は、彼女と一緒に「天気を晴れさせるバイト」を始める。


 だが、天気の巫女の力を得ていた彼女には、恐ろしい代償が待っていたのである。



「異常気象」という単語が出てくるが、天気巫女を知る神主がいうには

「たかだか100年程度の観測で異常とかwww」

 と草を生やす。

 

 巫女の伝説は八〇〇年前をゆうに超えており、異常の判断はせいぜい「観測者の視点でしかない」という。

 むしろ天気なんてものは「天の気まぐれである」と話す。


 気象の専門家も、「天気は異常がデフォルト」という意見があるらしい。


 人間の心も同様なのでは、というのが、本作のテーマかと思えた。


 作内の大人たちは、子どもたちに対して「普通であること」を強要する。

 ただ一緒にいたいだけの子どもたちを、社会のルールで引き離そうとする。


 主人公たちは劇中に降り続く雨の如く、抵抗を続けるのだ。

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