『アウトサイダー』 安田大サーカスのHIROくんが怖い!
「仁義なき戦い + ブラックレイン?」みたいな話。
1954年、大阪。
元米軍のニック(ジャレッド・レト)は、刑務所で知り合った清(浅野忠信)を、偽装工作で逃がす。
その方法が、『仁義なき戦い』で「梅宮辰夫氏が、菅原文太氏の前で切腹する」偽装自殺シーンと酷似している。というかまんまリスペクトと言っていい。
出所したニックは、清と協力し、ヤクザへのし上がっていく。
頬骨のコケた怪しいマスクは、『ブラック・レイン』にてマイケル・ダグラスの相棒役を演じた、アンディ・ガルシアを思い出させる。
途中、神戸系ヤクザに、武器密売のタレコミを偽装された。
自己防衛のため、ニックは神戸系のチンピラを二名殺害する。
対立しているとは言え、ニックたちは責任を取らされた。
指を噛み千切った『アウトレイジ』と違い、包丁で指がサクサク切れる。
ツッコミどころではあるが、気にしてはいけない。
これがヤクザ映画なのだから。
内も外も、対立激化
ニックは、清の妹、美由(忽那汐里)と両思いになる。
だが、清はヤクザと結ばれてはイカンと反対。
神戸系ヤクザとの対立も本格的になっていく。
向こうも外人を雇い、ビジネスを拡大していた。
神戸系は手打ちを進めてくる。
が、前時代的な考えの組は、いい顔をしない。
また、清の幼なじみであるオロチ(椎名桔平)も、ニックの台頭に不快感をあらわにする。
まだ敗戦の屈辱があって、白人を受け入れられない時代性もあるが、そんな白人に兄弟が懐いているのが面白くないのだろう。
ポイント:義兄弟
外人が、当時の排他的な日本にだんだんと馴染んでいく。
これは当時としては、結構斬新な発想だ。
しかも、描いている背景はヤクザである。
もっとも純和風を尊ぶように思えるような世界だ。
そこに異分子が入り込むことによる化学反応を、綿密な取材を元に描写している。
そう考えると、浅野氏演じる清は、実に先見の明があった人物だと思える。
実在の人物なら、色々と苦労し、それでも乗り越えていったに違いない。
ニック演じるジャレット・レトも、ときたまたどたどしい日本語を話す。
『ラストラムライ』のトム・クルーズのように。
美由に惚れたのも、疑似ではない家族が欲しいと思ったからかも知れない。
一見古くさいテーマの映画で、実に旧時代のVシネマを意識した作りの本作。
だが、実は新しい創造性に基づいて作られた映画だと、あとになって分かる。
安田大サーカスのHIROくんが怖い!
ホントにこんなヤクザいてそう!
それくらい、彼の演技は真に迫っている。
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