『ザ・ローリング・ストーンズ/オレ! オレ! オレ! ア・トリップ・アクロス・ラテン・アメリカ』 音楽と弾圧の歴史

 ストーンズ、初めてキューバの地を踏む。


 ラテンアメリカでライブツアーを行う、ローリング・ストーンズ。

 

 始めて、ローリング・ストーンズがキューバでライブを行う。

 ロックどころか音楽がまともに扱われてこなかった国で、歴史が変わる。


 カストロ議長は、このライブを製作の一つと考えている。


 だが、彼らのライブには多くのトラブルが待っていた。



 アルゼンチンは、独裁政権下にあって、保守的な背景を持つ。

 そのため、ロックが聴けない時代があった。

 そんな中で生まれたのが、「ロリンガ」と呼ばれるグループである。

 彼らは、ストーンズの熱狂的ファンクラスタである。

 


 ブラジルでは、サンバヴァージョンの「悪魔を憐れむ歌」を、地元のサンバグループが歌う。

 元々バラードだった。ブラジル訪問の際にサンバのリズムを取り入れたのだという。

 サンバも、貧しさの中で生まれた音楽だった。

「戦う者達から生まれた歌、それがサンバなのさ」

 

 

 サンパウロに絵描きの友人を持つロン・ウッドは、

「キャンバスの上では、オレがリーダーだ」

 と真っ白な紙の上で絵筆を走らせる。



 チリも、スペインによる侵略によって、音楽が発展していった国である。

 彼らが民族舞踊を踊っている時に。チラチラと外国産のシューズが映るのが印象的だ。



 いよいよ、あと一ヶ月キューバでライブだ。

 3月21日に日程は決まっていた。

 しかし、ケチが付く。


「その日、オバマがキューバを訪問するから日程ズラして」


 このままでは、ストーンズのライブが終わって12時間後に来ることになるという。


 はい日程を21日から25日にズラしました。

 今度はローマ法王からケチが付いた。


「25日はお祈りの日やからライブには相応しくない!」



 さすがのストーンズもキレた。強行だ!

 


 ラテンアメリカを回るツアーで分かったのは、どの国も弾圧や迫害に耐えて、音楽を愛し続けた点である。


 キューバ人は「音楽がなければ生きていけない」と語る。



 キース・リチャーズは、ライブの度に涙するという。


「毎回のコトなのにさ、泣いちゃうんだよね。でもさ、この舞台に立てばきっと分かるよ」



 映画のラスト曲が「サティスファクション(意味:満足)」というのも泣ける。


 ファンたちに最高の満足(サティスファクション)を届ける。

 それが、エンターテイナーの役割だ。


 ギャラリーがはしゃぐ声を目覚まし代わりにするキース・リチャーズがカッコ良すぎ。

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