Kamisama

録音された自分の声をイヤフォンで聞いているみたいだ。

クレペリン検査を繰り返していたらいつのまにかいちばんしたの床が水びだしになって、ここが始めから終点だったことを思い出した。

死んでください、いやいっそ死にたい。

無視されないためには喋り続けるしかない。

もう二度と空爆されたくないから地下鉄の駅に巣をつくって暮らすことにしたんだった。都市に住んでいると、ひとつの文節の中で三人以上の他者について言及することができなくなってしまう。

もういいから最後まで燃やしてくれという教祖を自称する女の子からの手紙。

帰り道は遠回りしたくなっていつも水辺に辿り着いた。

時間をかけてひたすら書き出してもそれでもどこが悪いのかわからなかった。

そして、死んでしまったひとたちからは死んでしまったひとたちしか生まれては来ない。


ねえ山手線の電車っていつもがたんごとんがたんごとんって音を立ててるじゃないですかあれ実はボランティアの参加者が集まって合唱したものをスピーカーで流してるんですよ本当は山手線の電車っていうのは完全に無音なんですだけど無音の電車に乗っているとだんだん不安になってくるじゃないですか自分が本当はいまどこにいるのかどの駅で降りればいいのかわからなくなってくるじゃないですかなんだか無音の不安に耐え切れず自分たちが意味もない雑談を延々と続けなきゃいけないような命令というか義務みたいなものを感じるじゃないですか見下すな見下すなおれたちを笑うないつもそうなんだおまえらはいつも自殺しろ自殺しろ自殺しろってうるさいんだよ


ところで、僕たちの頭蓋を切開するとそこには鮮やかな梔子の花が詰められていることを知っている?

にんげんは成長すると脳を取り出されてお父さんとお母さんが梔子の花を詰めてくれるんだよ。

そうすることではじめてにんげんは言語を獲得するんだ。取り出された脳は、海に放流されてくらげになる。

君はくらげを観察したことがある? 

いちどくらげを捕まえて、水槽に入れて部屋を暗くしてごらん。

睡眠不足の子どもの脳は、他のくらげと比べてもとても綺麗に光るんだ。



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