モノリス

「何が見える?」

「もう夜だよ」

「痛い」

「ぶっ壊せ」

「どこへいくの」

「やだ」

「聞こえないから」

「想像して」

「静かに」

「増えてない?」

「あの、」

「黙れ」

「はやく」

「こわかった」

「ねえ」

「誰もいないよ」

「眠い」

「終われ」




         だんだんと濃くなっていく蒼い空気が満たしえない全体へ 膨らんでいってそれは

           衛星軌道に沿ってつくられた運河、

     つたない宇宙の模型のよう。

                 架空のクジラを弔う

墓碑群の

 上へ

  腰を下ろして、

     ありえたはずの事物

                について思いをめぐらせながら断片的な

       記憶の淵に

水平線を

幻視する。

            まどを、

                たたくたくさんのおと。

       おそれないで、

                   おそれないで、

   みんなが    

   いちばんおそれていることは

               みんなが

               いちばんのぞんでいること



もうすぐひとつの明かりが消えてそこからの限定された視野がより大きな明かりを捉えるだろう、死んでしまったあなたの部屋に精彩を欠いた夜更けの路地に冬がはじまった

最初の朝に、枯れた水路に無為の百年に焦げた表面に陰鬱な光彩に広大な最小に、

あるいは、

名づけられないもののために贖いの巨きな火がかつてなくせつじつに希求される。



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