J・J 牢獄の道化師

白くはない少年

第1話 変わり映えのない日常

いつものように朝ご飯を食べて


いつものように学校に行って


いつものように勉強して


なんの変わり映えのしないこの街、南川町。

ただ、時々変わる事といえば1つだけある。

『生贄』制度というものがあるのだ。

なんでも、生贄になったら『化け物』に食われるだの、

一生奴隷にされて二度と帰ってこれないだの、

馬鹿らしい噂が行き交っている。

まあ、しかしだな。

それと言った確証も証拠も出揃わずに、毎月『1人』が消える。

本当にどういうこっちゃ…って思うのだが、本当に消えている。

現実となっているのだが今一つ何にもわかっていないのが現状だ…


と、長い話はこれくらいにして…

「…っていうか私は何に向けて話してるんだよ。」

毎日の日課の水やり。

外…畑に植えてあるトマトに水を上げている最中だったのに私は何考えているんだ…

「植物に話すっていいことらしいけど…さみしいなぁ。」

一人寂しく薄ら笑みをこぼす。


すると家から母が出てきて

「姫香~?朝ご飯できたわよ~。早く済ませちゃいなさい!」

元気のいい声で毎朝言って、戻っていく。

よく飽きないな~なんて毎朝思っている私だが。

それでも母が作るご飯は毎日変わり映えのある美味しいご飯だ。

飽きることなんてない。

そんなことを考えつつ家に戻って、キッチンに向かう。

「あ~、そうだ。」

キッチンに着くなり母がこう話を切り出す。

「来週テストじゃないの~…姫香、勉強は大丈夫なのかい?

あなた、もう17なんだし仕事も忙しいのもわかるけど

なるべく点は取りなさいね?これからが重要なんだから。」

またなのか…とか思いつつ、返事を返す。

テストの前になるとかなりうるさく言ってくる。

私のことを考えているんだろうけど、うるさいったらありゃしない。

「わかってるって。前回もさ、点数良かったっしょ。モグモグ…」

さっささっさとご飯を飲み込んでいく。

やっぱり美味しいのは変わらないっていいことだと思うんだよね。

「あんなので点数が良いなんて…ま、それもそうだけどね。

あなたはこれから忙しいんだから、どっかをほっつき歩いてるんじゃないわよ?」

『念には念を』ってなくらいに言ってくる。

そんな言葉も、もはや聞き飽きたようなものだけれども。

そうしてご飯を食べ終えて。

「ごちそうさまでした。んじゃ、行ってくるね。」

弓道の道具も持ちつつ玄関に走って向かう。

「気をつけて向かいなさいよ?ここら辺は安全と言うけど、

いつ、何が起こるかわからないんだから。」

母が手を振っているのを横目に玄関から出る。

そういえば今日は6月20日…なんかあったっけか。

まあ、あったとしても身体が覚えているでしょ。

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