第3話
「私は、様々な時空の世界線と混ざってしまったこの世界を確立するために、神様に創られた≪
ツルギの話を要約すると、こんな感じらしい。
世界にはたくさんの神様ってやつがいて、それぞれの国・地域で信仰され、存在を保っている。いわゆる宗教ってやつだな。
時に、宗教の思想の違いで戦争が起こったりするが、今回の出来事には何ら関係ない。
問題なのは、たった一つの世界に、たくさんの神が存在しているってことらしい。
たくさんの神が生まれ、存在する間に、その思想の違いや全能性から、空間にゆがみができた。
そのゆがみから、違う世界線が混ざり、溶け合い、≪異世界≫と呼ばれるものができる。
そして、その異世界に棲むものたちが、この世界に悪影響を及ぼしている……らしい。
神様たちは困った。
異世界の存在を速やかに抹消しないと、この世界の生物に多大な影響を及ぼすだろう、と。
しかし、異世界の存在はひそかに忍び寄り、≪物質界≫と混ざってしまっている。
自分たちは、直接的に≪物質界≫と呼ばれる者たちに干渉することはできない決まりだ。
それを破ってしまったら、神同士で取り決めた不可侵条約ってやつに違反しちまって、下手をすれば存在を抹消させられるんだと。
だから、異世界に干渉できる武器を創造し、物質界のものに与え、異世界の存在を少しづつ消していかせよう、と。
「選ばれる方は、全くの偶然です。つまり、私の使い手に選ばれたのは、佐藤一郎太さま――」
「俺、って訳か。なるほどねー……って、納得できるかぁ!」
ガタンっ!
頭にきて、立ち上がり、ツルギをにらみつける!
「そんなアニメや漫画みたいな話があってたまるか! 来い! とりあえず警察に突き出してやる!」
その勢いで、細い腕を引っ掴み、警察へ連れて行こうとした。
だが――。
「なんだよ、うるせぇな!」
騒ぎを聞きつけ、独身寮のほかの住人が押し掛けてきた。
あれ? これは、ひょっとしなくてもかなりまずいんじゃ――。
ガチャ。
「寝てるやつもいるんだぞ、静かにしろ――」
ドアが開いた瞬間、目が合う。
見ようによっては、俺が女の子を押し倒そうとしているようにも見えなくもないだろう。
「佐藤~? その子は何だ?」
「あ、え、えっと、妹です」
苦しまぎれの嘘が、口をつく。
もちろん、そんな言い訳が通用するわけもないだろう。
「へ~? そうか~、妹か~。――ところで、ここのルールは分かっているよな?」
「え、えっと、異性の連れ込みを固く禁止する、でしたっけ?」
笑顔で尋ねられたので、苦笑いで答える。
「寮長~! 佐藤が女の子連れ込んでま~す!」
「ああっ! ちょっと待ってください~!」
慌てて止めようとしても、無駄であった。
階下から、寮長とみられる足音が聞こえてきた。
「あ、言い忘れていましたが――」
ツルギが、思いついたように言う。
「無理やり私を引き離そうとすると、神様の強制力が働いて、離れないように周囲からの干渉が入るんでした。話すのが遅くなってすみません!」
kissから始まる異世界転移~俺の武器【あいぼう】は、シスターで義妹【シスター】~ さなゆき @sanayuki
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