第6話 昼食そして、約束

相川さん達と一緒に昼食を食べることにした俺たちは、先に取っていた席へと行き、昼食を食べることにした。


「今後の昼休みはこの4人で過ごさない?由乃も毎日、来られたら大変だしさ」


「俺は舞さんの意見に賛成だな、その方が面白そうだし。優斗は?」


「相川さんがいいなら」


「わ、私もそれがいいかな。それに、橘くんともっと話したいし」


「そ、そう」


さっきのこともあり、少しぎこちない返事になってしまう。


「それじゃあ、みんな賛成ってことでいい?」


「おう」

「うん」

「いいよ!」


と言い、これからの昼食を一緒に食べることが決まった。


「そう言えば、由乃と橘くんってどこで会ったの?」


「あれは、まあ、この怪我にも関係するだけど、入学式の帰り道で事故に遭いそうだった相川さんを助けたんだよ」


「由乃と帰り道一緒なんだ」


「そうだね、方面は同じだし、途中までは一緒だよ」


「でも、私を助けてくれたから橘くんは怪我しちゃった訳で…」


少し落ち込んでしまう相川さん。少し空気が重くなった気がする。


「相川さん、気にする必要はないと思うぜ。優斗にとっては『善意の餌やり』みたいなものだからな」


「おい!なんだよ、その言い方は!」


「いや、中学の時、有名だったぞ」


「知らねえよ!初耳だわ!」


初めて聞いたぞ『善意の餌やり』なんて言葉!


「はあ…でも、相川さんもあんまり気にしなくていいからね。お互い、無事なんだしさ」


「うん、ありがとう。…でも、やっぱり何かお返しがしたいんだけど…ダメかな?」


多分、断っても無駄なんだろうな…よし!


「じ、じゃあ、お言葉に甘えようかな」


「ホントに!?じゃあ、明日から毎日、私がお弁当作ってあげる!」


「え、ま、毎日!?」


「え…ダメだった?」


それは、大丈夫なのだろうか?相川さんが無理する必要は無いはずなんだが…でも、めっちゃやる気満々だから断りにくい。それに何か、めっちゃ舞さんはニヤニヤしながら見てくるし、春樹は春樹で羨ましそうに見てくるんだけど、まあ、気持ちは分かるぞ、春樹。


「その、相川さんの負担にならない?」


「大丈夫だよ!…これで、橘くんの胃袋を掴ん出しまえば!」


なんで俺の胃袋を掴もうとするのだろう?俺より、もっといい人いるはずなんだが…


「よかったね〜、橘くん。由乃の料理の腕前はなかなかのものだよ!」


「ほんと、羨ましい奴め!」


そんな事を聞くと少し期待してしまうのは仕方ないことだろう。


「期待しすぎないでね…」


「あぁ、わかった。でも、楽しみにはしてる」


あれこれあったが、明日から相川さんの手料理が食べられるらしい。これまた、凄いことになったなと思いながら、昼休みは終わりを迎えた。

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