第4話 神を造りましょう
人類誕生から更に千年が経過した。
人類は各々の進化の道を進み、だんだんと体毛が薄くなって人間っぽくなってきた。同じく、ヴァルスもそれっぽい感じに変化している。人間っぽくなってるのは、おそらく我々の認識が彼らの進化を定めているのだろう。つまり、人間になっていくのは予定調和だってことだ。
なお、種族名は人間種、獣人種、翼人種とした。
全て人類って分類にしたんで、纏めて人扱いだ。まあ見た目はぜんぜん違うけど。
…でも呼び方が微妙に面倒なので、人種・獣種・翼種って感じで呼んでる。こっちで定着しそうだな。
中央大陸はヴァルスが人々をまとめ、神の御使いとして王国を築いている。王国と言っても、巨大な人間の集合体なだけなのだが。それでも人々に知恵が付き始めたのか、新しい道具の作り方や法律の原型っぽいもの等も作られ始めている。遅すぎるようにも感じられるけども、しかし今は石器時代。種として全体の知能が発達しなければ進化は無いということかと。
ちなみに、ヴァルスは老いのない存在、不老者であり神の代弁者であり、私の託宣を受け取る者と言うことで、一目置かれているようだ。現人神みたいに傅かれてるけども、ヴァルスは驕ることなく私に仕えてくれている。
皆は私を象る神像を作り、それに毎日、祈りを捧げてくれている。…神像は簡素な月を表す三日月でね。この世界の月にも満ち欠けをするように設定したので、その象徴としてこんな形になったようだ。だって真円だと太陽とかぶるし、それはヴァーベルの大陸の獣種達がもう作ってるから。
さて、人々の進化を見ながら、私は冥府の獄卒を作り出していた。よくよく考えたんだけども、獄卒ってようは機械的な行動ルーチンを持つだけの人形でも良いわけだから、楽できると気づけば後は簡単だ。いかにも悪魔っぽい異形の怪物人形をたくさん造って、それぞれに命令を組み込んで動くようにしておいた。命令権は私にあるが、後々この人形たちを使役する補佐役でも作り出そうかね。怖いアトラクションと獄卒たちのお陰か、冥府に来た死者達から悲鳴という名の好評の声が上がっている。うむ、良きかな良きかな。
獄卒のお陰で、言う事を聞かない死者の数がめっきり減ったので、私としては楽だ。暴れても獄卒が手加減無用とばかりにふん捕まえてくれる。前は、言う事聞かない死者を、私じきじきに出向いて叩き潰してたからさ。楽できるのは良いことだよ、本当に。
それから、冥府の刑罰も要項ごとに纏めて決めておいた。ほら、故郷で言うナントカ地獄ってやつを階層ごとに決めて、その通りの刑罰システムを一通り作り出したのだ。例えば、詐欺罪は舌を延々と切り落とす刑罰、強盗は延々と岩に潰され続ける刑罰、殺人に至ってはその者にとって最も悍ましいと思える幻影に襲われ続ける刑罰だ。
カルマ値とその人間が犯した最も重い罪を加味することで、これら刑罰の期間と内容を決めるように…という裁定方法を確立させたので、これまでのようなフワッとした裁定ではなく、明確な線引が出来るようになったのは大きい。
でもま、人は慣れる生き物だしね。同じ刑罰ばっかりだと当初ほどの苦痛は感じなくなるだろうし、何より精神的に壊れてしまったら罰を行う意味がない。なので、適度に休憩、もとい、岩を山頂まで背負って運ぶ労働従事の刑罰をルーチンに組み込みます。これで刑罰を効率的に執行し続けられるだろう。
…ここまで決めといてなんだけど、割と酷い内容の仕事ではある。ティニマとヴァーベルに話したらなんかドン引きされたし。なんだよぉ、だったら君らがやれよなぁ。
とはいえ、汚れ仕事はおそらく私の役目。だって二人共ノータリンだし、能天気を絵に描いたような性格だし。こういうことができそうなのは、私だけなのだ。
私は、おそらくかなり冷酷な性格をしている、と自分でも思う。
私は下界の人類が滅びかけていても、きっと何も感じないだろう。なんというか、神視点で仕事を行っている私にとって、定命の者達は数字の羅列にしか見えていない。死んだとしても、どうせ冥府で転生できるんだし、という思いもある。死後の流れを構築したからこそ、死への恐怖も畏怖も嫌悪も感じていないのだ。
例えて言うなれば、街を作るシミュレーションゲームをしているような気分になっている。
プレイヤーは街を作るために、建物を立てたり人口を増やしたりといろいろ行うが、その殆どのプレイヤーは住民をデータの羅列としか認識できていない。たくさんの車が通る道路を「アリみたいだな」とか思いながら、街づくりと繁栄を行い、飽きたら災害を引き起こして全て壊して楽しむ。ま、私が行っているのも、そんな感じなのだ。
とはいえ、私が
神にとって、それは目覚めながらにして、夢を見ているかのようで。
夢心地に創生を行い、世界の営みを見つめ、そして世界の滅びに抗う。
同時に、私の中で悪魔のような声が囁くのだ。
…もしもこれに飽きた時、私はこの世界を滅ぼさずにいられるのだろうか、と。
我らは、この世界の概念を創造した原初の神々だ。つまり、自らの管理する領域を完全に放棄した時、この世界の秩序ともいえるシステムも同時に崩壊する。私で言えば、時と夜と死だ。これが消えた世界がまともに動くには、長い年月が掛かるだろうし、さらに言えば私はそれを用いて世界をめちゃくちゃにすることも容易なのだ。
世界破壊爆弾のスイッチを持っている状態、とでも言えばいいのか?
遠い未来、私がそれを押すかもしれないという可能性は、無きにしもあらずなのだ。
我ながら恐ろしいことだ、と他人事のように呟く。
…万能すぎるのも問題だなぁ。
※※※
「ルドラァ!神を作ろうぜ神を!」
ちょっと、「磯○ぉ野球やろーぜ!」みたいなノリで凄いこと書かないでくれる?
ともあれ、ヴァーベルの奴から送られてきたメッセージを前に、ちょっと考える。
あれから更に数千年経って、確かに世界は安定してきたわけだし、在野の神々も作り出すべきだろうかねぇ。時期的に次の段階に進んでもいい頃合いではある。
なので、二人の元まで行って、我々は会議をしながら一番最初の「神」の設計図を作り出す事にした。
「神って言ってもさ、やっぱり冷酷なのはダメなんだと思うよ!優しくて大らかでなんでも出来て、みんなにとってお母さんみたいな存在が良いと思う!」
まあ、そうだねぇ、人々にとっての癒やしになる存在でもあってほしいし。
けども、神は基本的に世界を維持するサブ管理者って位置づけにするわけだし、優しいだけじゃやってはいけない。間引きも必要になる場合もある。
「間引きってお前なぁ。もうちょっと愛着を持ってやれよ。仮にもお前が造った生き物だろう?」
あいにくと、現在の人類は外大陸から流入してきた異種族と交配が進んでましてね。私が造った人間種の数が少なくなりつつあるんですよ。ははは、なんででしょうねぇ?
「え、ええっとなぁ。それはまぁ、その、すまんかった」
「ご、ごめんね?わざとじゃないんだよ?」
…ったく、なんで獣種と翼種の手によって、人種が奴隷にされてるんだよ。
冥府に手を加えるためにちょっと目を離した間に、ヴァルスの王国まで侵略してきてたし。ヴァルスも「主の手を煩わせるわけにはいかない!」って張り切っててさぁ、背水の陣になるまで黙ってるし。まったく…まあ、その心遣いは貰っておくけど。人間はまだまだ弱いからね。兵器開発でも急がせようかな。
ああ、侵略者どもは消し飛ばしておいたよ。なんで私の子供を狙ってんだこいつら、って感じで。
しかし連中が残した血は、未だ大陸中に残っててね。獣耳の人間とか、耳の尖った小さな人間とかが、結構な割合で存在するようになったんだよ。くそっ、好き勝手やりやがって…。
ただ、皮肉なことに異人種の血を得ることで、人間も全体的にパワーアップはしている。当初の予定していた人間よりも、複雑化しつつはあるんだがね。
渓谷に住まう人間は獣の器官を持つ部族が多くなり、山岳に住まう人間は小さくがっしりした体躯の部族が増え、森に住まう人間はひょろっとした色白な感じになった。
あれだね、これってエルフとかドワーフになりそうだ。とか私が思ったので、おそらくエルフとかドワーフとか半獣人とかに変貌するかもね。まあ、どうでもいいか。
「そ、それでよぉ、新しく作る神はどんなのが良いと思う?」
そうさね、割り振った仕事ごとに性質を変えればいいんじゃないの。
たとえば、人類の守護神は慈悲深く正義感が強い、とか。
「いいね!あたしの仕事の一部を任せられるような子を作ろうと思ってたけど、人を守る神様も作りたいなぁ!」
うん、いいんでない?
「それじゃ、まずは人の守護者を作るか…種族関係なしに人類を守るって言うけども、戦争には極力関わらせたくはねえな。悪用されそうだし」
「そういう、派閥争いとかに巻き込むのもかわいそうだしねぇ」
「なら、魔物に対する対抗策ってことにするか。これなら人類の守護者になるだろうし」
…魔物、ねぇ。
最近、世界の中へ向けて、「虚無」が侵食を開始してきたらしい。虚無の根が世界を蝕み、世界はそれに抗う為に世界エネルギーを用いて抵抗を開始したんだけども。その際に、虚無の根から異質な存在達が生まれて、世界に出現した。
我々はこれをオーソドックスに「魔物」と呼ぶことにした。
魔物はこの世界に生きる存在を狙う無我の化物で、ケダモノよりもタチの悪い何かだ。しかもなんかこう、気味の悪い虫っぽい異形なので、私は嫌いだ。
なんかこいつら、近寄ると融合して強い存在に昇華される性質を持つという、始末に負えない連中でもある。そして食い殺した生命の身体は、こいつらに侵食されて魔物と化す。人間だとゾンビになるんだね。魂無いけど不浄なので、聖水の作り方を考案して教えておこうかな。しまいにゃ吸血鬼にでもなるんじゃないの?
また同時に、虚無の根は大地への攻撃を開始したようで、そのせいでティニマは困っているんだとさ。大地の元素が乱れに乱れ、維持する事に大きな労苦を必要としているらしいぞ。
魔物に関して言えば、我らの力はあまり大きな効果が期待できない。なんといっても、世界の外から来た規格外の連中だから、この世界の常識じゃ測れない何かがあるようで。時エネを用いた力は通用するが、何故か世エネを用いた力は通用しない。厄介な…。
「なんかねー、大きな魔物はあたしの領域に入り込んでるんだよね。なんであたしなんだろう?」
「うーん、きっとティニマが大地の神だからじゃねえか?ほら、大地が無けりゃ世界は存在できないんだし」
「やーねぇ、気色悪いのが一杯でヤになっちゃうよ!」
ふむ、大型の魔物は大地神の領域を狙うのか…。ティニマの領域、あのプライベートスペースまで魔物に侵食されたら、この世界の大地がボロボロになって崩れ落ちることも有り得る。あそここそが、我々にとっての最奥、つまり神の玉座と言っても過言ではないからな。
そこが陥落した場合、魔物を追い出したとしても、被害の度合いによっては大地に生きる者達にとって、滅亡レベルの脅威になるだろう。
……………
そうだ!閃いた!
「お!?なんだ、またなんか面白いシステムでも思いついたのか?」
「ルドラってそういう悪巧みとか得意そうだよねー」
失敬な奴だな君は。
…こほん。
まあともかく、説明しようかね。
この虚無の根はティニマを狙う。ならば、いっその事ティニマの領域に罠を仕掛け、こいつらを集めて封印してしまえばいいのだ。
「封印?って、どうやるの?」
時エネルギーで別の隔離用次元を作り、奴らが領域へ入り込むと同時に、そこへ吸い込まれるようなトラップを仕掛ける。もちろん、ティニマの領域へ抜け出せないように、強固な一方通行にしてガッチリ封鎖しておく。
時エネは常時消費され続けるが、まあ現状の収支としてはさほど問題はない。
「おお!そんじゃ魔物をずっと閉じ込めれば問題ないってわけか!」
いや、ずっと閉じ込められるわけじゃないんだよ。
「え、そうなの?」
中に封印される魔物の数が増えれば増えるほど、こいつらは融合して力を増す。そうすれば、いつかきっと封印を破って出てきてしまうだろう。封印を強固にする分、エネルギー消費も激しくなるし、中の魔物も強くなるからね。
「封印じゃなくって、世界の外に追放とかは出来ねえのか?」
無理。だって魔物は虚無の根っこが具象化している存在に過ぎないんだ。つまり、本体はあくまで虚無の根っこ。追放したところで、倒さなきゃまったく同じ魔物が虚無から生まれるだけなんだよね。
「イタチごっこってやつだね~」
でも、こいつらを一網打尽にすれば、この世界に侵食している虚無の根っこの力を削ぐことにもなる。いちいち個体を駆除して回るよりも、罠にかけて纏めて焼却処分したほうが、エネルギー消費的にも効率的ではある。
「おーおー!いい案じゃねーか!さすが俺たちの参謀!」
ははは、やめてくれたまへ。照れるではないか。
「でもよぉ!どうせだし、もう一捻り加えるってのはどうだ!?」
…む?もう一捻り?
「つまりだな………『勇者』を作るんだよ!」
…おおう!?
ヴァーベルの提案は、こうだ。
勇者と言うべき、神の恩恵を余さず与えた超人を生み出す。そして封印を破って出てきた魔物の集合体を勇者が倒せば、それだけで時エネ分のエコロジーにはなる。だから、勇者を生み出すシステムを作ろう!と。
うん、言うことはわかるけども、問題があるぞ。
とりま、勇者が魔物を倒して後に、どうすべきか。
当然だけど、魔物の集合体をぶっ倒すとか化物だから、人間社会では絶対に爪弾きにされるよ。
「だから新しく作る神を、勇者にするんだよ!で、必要な時だけ下界に顕現してもらうってのはどうだ!?」
…あれ、ヴァーベルの癖にちゃんと考えてら。
「あん?どういう意味だおい」
自分の胸に聞いてね。
…で、勇者という名の神を生み出すのはわかった。
なら、勇者は人間社会に入り込んでもらうわけだ。勇者の人格は人間的にするわけだよね?
人間性を重視すればするほど、おそらく時間を経るごとに、歪みが生じると思う。
「歪みって、ひねくれるってことー?ルドラみたいに」
そうそう、私みたいに…って、やかましいわ!
ともかく、人間社会に染まれば染まるほど、勇者の心がブレる可能性がある。ほら、創作話しとかではよくあるでしょう?闇に落ちた勇者とか、そういうあれ。
「ああ、なるほど…ブレないように、性格を固定できないのか?」
「できるけど、それすると機械っぽくなるよ。なんかね、精霊の子で試してみたんだけど、強い自我をもたせて性格を固定させると、言葉まで定型句になっちゃうの。面白みがなくなるっていうのかな?返事はほとんど『はい』と『いいえ』しか言わなくなっちゃった」
某国民的人気ゲームの主人公かな?
まあ、それも人間性を犠牲にするってことだね。勇者は魔物を倒すだけの道具ってことで割り切れば、それでも良いんだけど。
「ダメだよ!ちゃんとした人じゃないと、なんか変な事しそう!」
「そうだぜ!やっぱり勇者は熱い魂を持った熱血漢じゃねーと!」
勇者に何の夢を見てるんだ君らは。
…わかった。それじゃあ、勇者は魔物を倒すごとに神界に呼び戻し、有事の際に記憶を失わせてから下界へ放り込むってことで。
「それと強さも初期化しようぜ!いきなりレベル99は味気ねぇし!」
君の方がよっぽど道具扱いしてないか?
「それじゃーね、最初の神様は勇者の神様ね!」
「略して勇者神!」
勇者王みたいなネーミングだな。もうちょっとちゃんと考えてあげてよ。
「「えー」」
えー、じゃありません。一生モノなんですからね、しっかり考えてあげないと怒りますよ?…って、私はあんたらのお母さんか。
とにもかくにも、一番最初の被造神は決まった。それから、各々の領域を手伝わせる補佐神を造ったりしたよ。
私?私は、まあ冥府の仕事を折半できるような死神さんを作ってみた。髑髏にローブ、大鎌持ったロマン溢れるお姿。ただ、自我を薄くしておいたので、人情味は全然ない。冥府仕事に人情なんて必要ないんで。
ああそれと、魔物の集合体の事を、「魔王」と呼称することにした。
勇者と魔王。お決まりのアレね。
ますますファンタジーっぽくなったなぁ。
※※※
【有史以来、人類が死の国へ赴いて現世に戻ってきた、という話には枚挙に暇がない。それは人種・獣種・翼種という種別関係なく伝承として残っているほどであり、この事から冥府では種族による扱いの違いなどは存在しないことが伺える。翼種、特に天族がよく主張している『天族は神の使い故に、死すれば天へと召し上げられる』という説には、伝説以上の価値は無いものと思われる。とはいえ、彼らは基本的に傲慢とも取れる発言が多い故に、これらはただの彼ら特有の思想であるだけとも言えるのだが。
かの有名なネクロマであるラスケインのカルモランは、生前に一度だけ冥府に赴いてから生還したという伝承が残されている。また、カルモランは打倒された死後に冥府の神の手によって番人にされた、とも言われているのだが、真偽の程は定かではない。
ルドヴァルスの冥府では、死者を見張る番人達が居ると言われている。異形の姿をした看守達は暴れる死者を身の毛もよだつ方法で捕まえ、苦しめながら冥府の穴へと引きずり込むという。また、力を持った大悪人が暴れた場合は、冥府の空を覆うほどの巨大なルドヴァルス自らが降臨し、その闇よりも濃い腕で罪人を捕まえ、引きずりこんでいく。その後、その大悪人がどうなったかは誰も知らないが、一説では魂をバラバラに引き裂かれ、二度と転生できないように食べられてしまった、とも言われている。
ケイレス・アードナー著「世界の神々」より】
【魔王と呼ばれる存在がどこから現れるか、それを明確に知る者は居ないのでござるが、一説によりますれば地の底からボコボコっと泉みたいに溢れ出てくるのだとか、なんとか。もっとも、拙者もその瞬間を見たことも無いので確認しようがないのでござる。
なんと言おうか、「あ、どっかで魔王が出た」と本能で察すると言いましょうか?そうそう、聞くんじゃなくて感じるっていうアレですな。すると、勇者はメキメキと力がみなぎり、なんでもできそうな万能感に浸れるのでござる。
…え、いえ正確に言いますれば、すぐにとんでもないパワーを手に入れられるわけじゃなくて、ものすんげー成長をするってのが正しいのでござる。鍛冶屋の子は5日で2流に上がる、と拙者の故郷では言うでござるが、そんな塩梅の急成長を遂げるのでござるよ。これがまぁ、人間離れしてるというか。自分で言うのも変な感じなのでありますが…、まあ、そういう風に神々が作られたのでしょうなぁ。最初っから最強に作ってくだされば、もっと旅は楽ちんだったろうに、と天光神に愚痴りたくもなるでござる。…え?神と話したことがあるのか、と?まあ、そうでござるなぁ。ちょろっとだけ、死の国に赴いた時に、ルドヴァルスとお茶をしたことがござったので。ため息混じりに、天光神が夜刻神に借金してるって愚痴ってたでござるから、まあ天光神はルドラ神に頭が上がらないんじゃ………あ、ここは内緒で(以下黒塗り)
著者不明「老勇者ペスカトルのインタビュー口述メモの紙片」より】
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