第15話 『力』に目覚めた遼州人は本当に戦争に向いていない 『力』に目覚めた『人類最強幼女』は熱く語った
誠は必殺魔法『吐瀉』の呪文を頭の中で唱えながら話を聞いていた。
「当然、本気じゃ無いし戦争には役に立たないから、『スキル』に目覚めた人間が戦争に参加するとその国が確実に負ける!すごいだろ!」
誠は目の前の幼女の『スキル』自慢に付き合う気力が無かった。どう考えても恥でしかない。
「相手が本気を出さない『スキル』に目覚めた人間だと知ると地球人とかの敵対勢力の士気が上がる。これが、どうも理解できねーんだ。こっちは手を抜いてるのに……」
誠は目の前の幼女が恥を全宇宙に垂れ流すことを心配し始めた。
「本気じゃねーからな!いつでも!だから『スキル』に目覚めた人間の守る戦線は、本当に『簡単』に『突破』される!逃げ出すからな!自主的に!ばらばらに!あっちこっちで!」
誠はどこら辺がその『スキル』の便利なところなのか訳が分からなくなってきた。
突然目の前の『スキル』を貶めるだけの幼女が小声で続ける。
「あと、『スキル』に目覚めた人間は『嗜好品』がなくなると、落ち込んで戦線後方に篭ってしまう。これは反省してる。アタシも『いい酒』と『いい肴』がねーとやる気がでねーんだ」
だんだん誠は自分に『スキル』の素質があることに恐怖して怯え始めた。
「『スキル』に目覚めた軍隊の特徴!それは!弾薬よりも酒類やタバコなどの『嗜好品』の備蓄が多い!オメーもそーだろ?神前。アタシにいわせりゃー銃なんて必要ねー!危ねーから基本、使わねー。使う奴には『雑魚』の称号をやる!」
誠はランのこの言葉で確実な結論をその『ファンタジー理系脳』で出した。
『スキル』とはやはり『魔法』だ。それ以外ありえない!誠はそう確信した。
「他にもあるぞ!『スキル』に目覚めた民が打ち立てた『遼帝国』と言うアタシの生まれた国では!戦闘中に見張りを立てずに眠ってしまうのも日常茶飯だし、ヤバくなったら寝返る!当然だ!」
誠は幼女に『それ自慢にならないよ』と言いたかった。
だんだん誠は遼州人を辞めたくなった。
そして同時に、そんな『遼州人』の『ソウルメイト』になる地球人達がたくさん住んでいるという『ローマ近郊』で暮らしたくなってきた。
ただ、基本的に遼州の男は『モテない』と言う事実は認めなければならない。それは誠も分かっていた。そして、誠は地球の『モテ男』を少し嫉妬した。そして口から『もんじゃ焼き』を吐きたい気分になってきた。
『人類最強』の『ちっちゃい中佐殿』の『熱い』演説は続く。
「『スキル』に目覚めた人達が住む地域じゃ、どの軍もあっちこっちで軍艦が盗まれたりする。前の戦争じゃ乗っていたロボット兵器『アサルト・モジュール』を盗まれた兵士もいたと聞く。これはちょっとした自慢だ。すげー『スキル』だろ!自慢できるな!」
泥棒を褒めるな!盗まれたのに自慢かよ!とツッコめない自分を恥じる誠だった。
「大体、『スキル』に目覚めると戦争の意味を理解しなくなるから、戦わないで帰りたがるのがアタシ等『スキル』に目覚めた人間だ。すごいだろ!誇りに思うだろ!戦争に向いてねーだろ!」
もう、嫌だ!誠はそう思いながら口の中が酸っぱい液体で満たされていくのを感じていた。
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