第14話 『人類最強』幼女が『不殺不傷』を誓う本当の理由 『上から目線』
「『嘱託』が良いです!自由ですから!中佐のそっくりさんもそうだったじゃないですか!」
自分でも恥ずかしい意味不明な言葉を誠は叫んでいた。
なんとか『縦社会』と言う大人の作った牢獄から逃げ出したかった。
社員が嫌ならフリーになる。そのことしか誠の頭になかった。
ランは不思議そうな顔で誠を見つめる。
「頭、平気か?酒で壊れたか?『嘱託』はつれーぞ。給料、上がんねーし……正社員が来れば首切らるし。バイト以下だぞ?待遇」
何もかも世の中分かった顔の『幼女』がそこにいた。
「まー『社会』を知らねーオメーだからな。『スキル』に目覚めると、色々、いーことがある」
リアルな組織運営の話をぶっ飛ばして『偉大なる中佐殿』はしゃべりだした。
「本当ですか?つぶしが効きますか?その『
誠はそう言って強がる。『ブルーカラー』なら生きていける。それは自信があった。
「『作業員』はあくまで『作業員』。『社員』とはちげーよ。残念ながら、社会の矛盾とやらで、会社の慈悲で生活している人々だからな。だったら『百姓』やれってな……そっちは本当の『自由業』だ」
ランの悟りきった視線に誠は困惑する。彼女は自信満々の笑顔を浮かべていた。
「『スキル』に目覚めると、永遠に年を取らない!」
奇妙奇天烈なランの発言に誠は目が点になった。
「確かに34歳で8歳女児にしか見えないちんちくりんがいますね、事実。僕の目の前に」
そう言って誠はランを指さした。そう答えるのが誠には精いっぱいだった。
「それと!『スキル』があると、『人類最強』になれる!とりあえず『物理攻撃』が効かなくなる!」
誠は鼓膜にかわいい声で変な音声が流れていることに気づいた。
それを解読すると、目の前の『偉大なる中佐殿』はどうやら自分は『魔法少女』であるという事を言いたいらしい。
ランは誠の呆然自失とした顔を一瞥し、難しい顔をして腕組みをした。
「しかし、便利なもんも考えもんだ。当然、『スキル』を持つが故の限定もある」
そう言って目の前のちっちゃい女の子は考え込んだ。
「あれですか?それがばれると『魔法の国』に帰らないといけないんですか?それなら『結界』を張ったり時間を止めたりすればいいじゃないですか。できそうですね、中佐ならできますよ」
誠は自分の言葉が意味不明だという事は十分わかってそう言った。
「ちげーよ、自分自身への『誓い』が必要なんだ。まず、力なき哀れな虫けら共相手に、絶対tに本気を出すことをしてはならない!これをアタシは『
ランの脳内では合理的理由があるのだろうが、誠には全く理解不能だった。完全に上から目線の憐れみしか、そこには感じなかった。
「本気は……駄目なんですか?『スキル』に目覚めると」
呆然として誠はつぶやく。
「あと……昼飯の時間になったら『スキル』に目覚めた人間は戦闘なんか普通は中断する!『スキル』に目覚めた人間の常識だ!それが『大人の態度』っつーもんだ!」
「自慢になるか!そんなこと!」
誠は本気でツッコむしかなかった。
もちろん、誠の胃の中の『胃液』はすでに食堂を逆流し始めていた。
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