第4話 『撃墜数|0《ゼロ》!被撃墜数1の『人類最強』! 誠の仕事は『倉庫作業員』らしい
握手が終わり、呆然とした表情で目の前のちっちゃな女の子を見下ろした。
どう見ても育ちの悪い雌ガキにしか見えない。
「納得できてねーみてーだな。アタシはクバルカ・ラン中佐。これからはアタシのことを『偉大なる中佐殿』と呼べ。そーしろ!そーしたら、オメーを守ってやる。アタシは『人類最強』だかんな!」
そう言って小さな東和陸軍の中佐の制服を着たランは腕組みをして誠を見上げる。
「『偉大なる中佐殿?』……自分で言うんですか?」
呆然として誠はそう言った。ランは相変わらずプリティーだった。
「オメーは人殺しに向いてねーから気に入った!うちはオメーみたいな『落ちこぼれ』の『倉庫作業員』を必要とする部隊なんだ!」
腕組みをしてただ立ち尽くす誠をにらみつけながらランは言う。
「あのー『特殊な部隊』って、幼女趣味の変態が喜ぶ部隊だから『特殊』なんですか?その人達。僕、そう言う趣味は無いんで」
『特殊な部隊』と言われて、そう言う意味で性癖が『特殊』なのかと思い口に出してみた。
「うーん。ショタなら運航部何人かいるぞ。幼女趣味は………」
ランは急にとんでもないことを言いながら天井を見回す。誠は呆然と立ちつくす。
ゆったりとした時が流れる。ホトトギスのSEが流れるくらいのおまぬけな空間。
ランは気が付いたように誠を見つめ。大きくため息をついた。
「そこはツッコミだろ?笑いの分からねー奴だな……。無能な上に空気を読めなきゃ、組織じゃ出世できねーぞ。世の中、組織って奴は厳しーんだよ。うちは『縦社会』だから、生きていけねーぞ」
誠の前で呆れたというポーズをとる。
「クバルカ中佐ですよね、貴女は」
もう一度繰り返すように誠は言った。
ランは呆れたように真面目な顔をして誠を見上げる。
「アタシはクバルカ・ラン中佐。あの長い長い『遼南南北朝内戦』でアタシの国、『遼南共和国・南朝』が負けたのは、アタシが落ちたからだ。だけどよー、そんな過去でもいーじゃねーか。過去なんか気にすんな。目の前のリアルを信じろ。アタシはクバルカ・ラン中佐だ。そして、こーしてオメーを迎えに来た。それだけは事実なんだ」
「リアル……事実……」
誠はランの言葉を繰り返しながら立ち尽くす。そして、誠を見上げるランの表情を見た。
絶望と恐怖がその目を中心とした顔全体に浮かんでいた。その目には涙がにじんでいた。
ランはそのままうつむいた。肩を震わせている。見下ろす誠は今にもランが泣きだすかと戸惑って声を掛けようとした。
「そうだ、過去なんて捨てろ……そうじゃなきゃ……アタシは……」
幼い姿の『最強の粛清者』は黙って肩を震わせていた。
そこまで言うと顔を上げたランは右手で涙をぬぐって笑顔を浮かべる。
「目の前のリアル、現実を信じろってことだ!アタシは『撃墜数
可愛らしいランははっきりとそう言った。そこには笑顔の幼女。『魔法幼女』の姿があった。
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