第三章"星を導く者(スフィアブレイバー)"ー7(終)
「・・・考えうる限り、最悪な状況だね。」
群にて、ピースはネネカたちの帰還後に届いた手紙を手にして解析をさっそく始めた結果、冷や汗をひとつ垂らして一言零す。
そして断言する。
「時間がない。」
資料室、ピースはできる限り人を集めた。
黄金の膜に覆われた場に入れる、入れないもの関係なく。
それは現状を知ってもらうためには関係がないから。
この事件は世界中の状況全体を利用している。
そのスカイライトの意図を、ピースは余さず理解できた。
故に参謀は自然にピースが担当する。
おそらく他にも出来る者もいるだろうが、真っ先に動き出したのはピースだった。
「あの
世の中どんな天才でも、手紙に書いてあることが本当ならば確かに彼だからこそ実現できたことだろう。」
ただ祈りを展開する仮想世界という優しいことではなく、心理学や脳医学等の各専門知識をフル活用し、各属性の魔法に落とし込むという手法がなされている。
そして知識だけでなく、長い人生経験と大量の魔力と魔力操縦なども必要になる。
何よりこの方法をスカイライトは一切誰にも託していない。
おそらく関わった人々の生き死に関わらず、一部しか知りえない。
故に、誰にも真似はできない、させない魔法なのだと納得した。
「そして、手紙の内容を見るにあの場所に入っていいのは、人間と翼人と獣人で魔力を一切扱わず、かつ特殊な道具や性質も用いないことが前提だろう。」
それを聞いたクウガは苦々しい顔をする。
クウガだけではない、レイゴルト等の要は"強い"者たちはあの場に行く資格さえないのだ。
クウガの場合ミーティアや月光も用いなければ行く資格はあるだろうが、そんなリスキーな手は打てないだろう。
なにより────
「この状況を利用して暴れる者が居ないとも限らない。
そういう意味でも、君たちは待機しなければならない。」
特に、魔族や竜族などは極端である。
まさに、ブランやヴィノス等がそれに該当する。
それ以外でも異変に慣れているメンバーもまた、聖都に行くのはリスクがありすぎる。
「逆に言えば、君は突入する資格があるだろう。」
ネネカに視線を向ける。
同じく資格があったヴァシリーサやウィレスが早々に取り込まれてしまったのは痛手だが、それでもまだ手は残っている。
もちろんそれだけでなく、厄魔なども該当するだろう。
それだけの戦力はまだ残されている。
「・・・さて、戦力の問題は解決できたが、問題は残されている。だがこればかりは解決できないことだ。」
切り替えるように、次の懸念を口にする。
「恐らくだが、あの魔法によってスカイライトは魔法は使えないと思う。
それは無論、あの
しかし、聞けば近接戦闘の技量も凄まじいという情報もあり、なにより最悪なのだが敗北しても逃げられるように転移分の魔力だけは温存しているはずだ。」
それはつまり、倒して追い込まれても、その瞬間に
あの場を解決しても、その先にいつまた動き出すかわからないのだ。
こればかりは───
「わかった上で、乗りこむ以外ないだろう。」
済まないが、その部分においては対抗策はないとそう告げている。
「・・・さて、以上だ。
出来れば早めに、行きたいものは言ってくれ。
さっきも言ったが時間がない。」
反撃の狼煙の時まで、もう少し────
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