MagicCentury2020.12
mc2020.12.1 冒険者パーティ来訪、重いアドバイス
本日は冒険者のパーティを組んでいるお客様が三名来店された。
数名一組で活動している冒険者は珍しくなく、依頼やダンジョン攻略において人数が多いことは有利に働くためだ。
俺もギルドと呼ばれる『冒険者同士で徒党を組んで活動する』グループには滞在していたけど、あの頃のみんなは元気だろうか……?
と、懐かしみながら三名の冒険者の来店を歓迎したわけだが。
どうやら彼らは冒険者育成学校を卒業したてのようで、初めて魔界に行くのだという。
ちなみに男二人、女一人(この女子が結構可愛かった)と、道中荒れそうな組み合わせだ。
そのうちで最も元気よく喋る男子が、俺に対して「魔界を知る冒険者の先輩としてアドバイスをください」なんて言ってきた。
ううむ、アドバイスと言われてもな。大体が学校で習っていることだろうし、今さら引退した俺がとやかく言えることはない。
だけど答えを待つ三人を前にして、何かを言わずには居られなかったので、俺が冒険者に感じたことを言った。ハッキリいって夢を壊す言葉だけど。
夢と現実は違う。
なんて、重い言葉を伝えた。
若者だからこそ、夢を見ていて欲しいとは思うけど、今から始まる冒険の物語は楽しいことばかりじゃない。むしろ辛いことが多い。小さな幸せが大きく感じてしまうくらいに、苦難の道のりだと。
それに『人は簡単に死んでしまう』ということ。俺が冒険者をやってきた十年のうちに、知り合った人間の訃報が入ることに"またか"と思うくらい、感覚が麻痺してしまう。
こんな話を伝えた彼らの表情は一瞬落ち込んだように見えて、馬鹿な話をしたと反省したけど、直ぐに三人は真剣な眼差しで「有難うございます」とお礼を口にした。
なんていい子たちなんだろう。
以前、この店に来てくれた冒険者ノティスのように、彼らの成功を切に願うとする。
また、彼らはこの店で回復薬と武器の練磨石を購入してくれた。
それをリュックに仕舞うと、笑顔で手を振り、魔界の奥地へと消えていった。
がんばれ。
君たちの大冒険のお話、いつか聞かせてくれよ。
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