第4話 日向 爽大 柚子
三学期は自由登校。柚子がいつも高校の図書室や空き教室で勉強していると聞いて近くの席で爽大も勉強する。日向は、爽大に一緒に勉強しよ、と連絡したら高校にいると言われてやってくる。
図書室で爽大と柚子が近くで勉強しているのを見て、何故かイラとする。日向は、考える。
ん。どうしてかな。柚子たんがカワイイから? 俺、そんな心狭かったっけ。
__いや、ちげえし!
爽ちゃんが……。なんにも言ってくれないから。
付き合ってんなら、報告くらいしてくれてもいいと思わね? こっちは教えてやったのにさ。
爽大のアホ、欲求不満なのかな? とかいちおう10分くらい真剣に考えてたのに! もし彼女に振られたら、爽ちゃんにハグくらいなら許してあげてもいいかなって。つーか、爽ちゃんがキスして振られたとか言うから。俺、彼女に何も出来なくなっちゃったんですけど!?
日向は、爽大にタオルを被せる。爽大は日向にニッコリと笑いかけた。
笑顔がカワイくてドキとする。
バカ。こっちは地味に嫌がらせしてんのに。彼女か好きな子できたんなら報告しろっての。
……こないだの、なんだったんだよ。ブツぶつ。
あくる日も、爽大は柚子と図書室で勉強している。そこへ日向がやって来てドカッとスクールバックを爽大のとなりに置いた。
「爽ちゃん!」
「ん」
「塾の自習室に来ないの?」前は、いつも自分と勉強してたのに。
「んー。夜行くよ」それは、個別の授業でしょ。
「爽ちゃん!」
「何?」爽大が、手を止めて日向を見た。
「なんか俺に言うことナイ?」
「ん? スキ♡だよ!」爽大 告ってやったぞ!! ザマーミロ!(?)
日向は、え。と一瞬フリーズした。
日向は小声で爽大に顔を寄せる。
「__あの子のコト? 柚子たんのこと好きなの?」
「へ」どうしてそうなるんだよ。俺が好きなのは、お前だよ。もー、せっかく告ったのに!!
んー、けどこれはチャンスなのか? ホラ。
爽大は言葉を選んで、駆け引きをどうしたもんかと頭脳をフル回転させた。(けど、なんせ経験値が低すぎた。汗)
「……そうゆうのよくわかんないんだけど。もしかして気になってんのー?」
「そりゃ気になるでしょ」
「どうして?」ホラ。気付いた? 日向もこっちのことが……?
日向は、爽大のセーターの袖を引っ張った。
「外に出よ」
「いいよ」
二人は、図書室を出て学食の自動販売機に向かう。いったん建物を出て外に出る。
「あー寒」爽大が手を擦り合わせる。
「あのさ、爽ちゃん」
「ん」
「俺、彼女と別れた」え。ハヤッ!?
「へ、へえー」う、うれしい! 喜びたいっっ!! (ダメでしょ!!)
全身で喜び出しそうなのをなんとか自制する爽大。
日向は、爽大を薄い目で眺めた。
「爽ちゃん」
「ん?」
「笑い堪えてるでしょ!?」バレとるやんけ!!
爽大、堪えきれずに笑い出す。
「アハハ。まーな!」
「ヒドイよー!!」日向は、爽大をポカポカとグーパンチする。怒っても全然カワイイ。
© 石川 直生 2020.
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