俺の最推しは隣人でした。

「あたしら、海外に出張するんだけどあんたどうする?来る?」


 高校に進学してから、まだGWにも入ってないとある朝。

 トーストを片手に目の前の女性、雨西香里奈あめにしかりなは唐突にそう告げた。

 それに対し、俺、雨西裕也あめにしひろやは一言だけ答えた。


「は?」

「いや。『は?』じゃなくて。慧さんとあたしは来週から海外に出張なの。」

「……うん。」

「だから、あんふぁもふいへふるは?っへひいへんの。」

「話の途中で食べ始めないでくれませんかね?」


 まぁつまり海外に出張するからそれに俺も着いてくるか?という話な訳か。

 なるほどなるほど。そういう事ね。そうか海外に出張かぁ……。


「って納得出来るかぁーーーーーーーい!」

「あんたどしたの?突然すぎる反抗期?」

「違うわ!!どこの世界に1週間後、出張になることを告げる親がいる!?しかも海外に!!」

「目の前にいるじゃない。」


 勢いよく立ち上がって、突っ込む俺だったが、冷静に対応されていると、階段から誰かが降りてきた。


「朝から騒がしいねぇ。なんだいまったく」


 階段から降りてきたのは、雨西慧也あめにしけいや。俺の父親だ。

 言うまでもないと思うが、香里奈は俺の母親に当たる人物である。


「父さん!!海外に出張って本当なのか?」

「ん?あぁ、そういえば言ってなかったね。その通り。僕と香里ちゃんは来週にはもう日本にいないよ。」


 ナンテコッタイ。

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