俺の最推しは変態でした。

黒夜

最推しとの出会い

 吾輩はオタクである。

 嫁はまだ居ない。


 アニメを愛し、ラノベを愛読し、声優を愛し、グッズを愛し、2次元全てを愛する見事なまでのオタクだ。

 そんな俺は、現在両親2人が海外へ出張してしまったのでひとり暮らしする事が決まった。

 流石に所持しているグッズ全てを持ってくる事はできなかったため、最推しであるアニメキャラ、『三那神夜香みながみよか』とその声を担当する声優、『井宮愛里奈いのみやありな』のサイン色紙が飾られている。

 三那神夜香は、黒髪ストレートを腰まで伸ばしており、基本的に目付きが悪いため、最初は勘違いされやすいが優しい性格で、クラス全員に慕われている。

 井宮愛里奈は、名前の通り女性であるが容姿を完全に隠しており、稀に女声が出せる男性なのではないか?と噂がある。

 その声は優しく、聞いている者の疲れを癒す様な声から「愛里奈様」と崇め奉られる。


 が、来客が居る為現在は貼っていない。

これがオタ友とかなら全然気にしないのだが、ひとり暮らししてる部屋のお隣さんが部屋に居る。

 来ているのは女性で、黒髪のボブに赤のメッシュを入れており、身長は俺が170cmあるがその俺の肩くらいなので160cm前後だろう。

 学校から家に帰る途中、スーパーから重そうに袋を持つ女性が出てきて、紐がちぎれてしまって買った物が地面に散らばってしまったのでそれを手伝ったら「ぜひお礼がしたい。」と言われ、家に案内したらお隣さんだった事が判明した。

 俺が引っ越してきた時は仕事だったのか、部屋の中におらず、帰ってきたのは俺が眠った後だった。


「じゃあそこで座っててね。お礼にお姉さん頑張っちゃうから!」


 エプロンの紐を後ろで縛りながら、気合いを入れながら女性は言った。

 

 にわかには信じられないが、俺がこの声を間違える筈がない。


 俺の最推しはお隣さんでした。

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