火傷治療ピーポーピー

火傷治療

　所々蒸し暑さがロケットのように突っ切っている街を抜けると品川区に着いたのだが落ち着いて考えるとあれは蒸し暑さというよりも花火だったような気がしてきて私は全身火傷を負っていた。

　ピーポーピー救急車に乗せられ街を駆け抜け駆け抜け病院という病院を周りに回ったのだがなかなか受け入れてくれる病院は見つからず見つからず気づいたら私はディズニーランドのイッツアスモールワールド内における水の上にプカプカプカプカ浮いていたのであるがこれはどうやらディズニーランドのイッツアスモールワールドの水で火傷を冷やそうとする作戦だったようで救急車に乗っていた救急隊の諸君。いやいやいやいやいくらなんでもそんなことしていいのかねと私は思うことを避けられないプカプカプカプカ浮きながらも。そんなことしていいのかね救急隊の諸君はあの例の乗り物に乗ってイッツアスモールワールドを楽しんでいるパシャパシャパシャパシャ写真を撮っている。いいんだっけか写真なんかとってとそれはちょっとはっきり覚えてないけども全身火傷の人間をイッツアスモールワールドの水で冷却するなんてそんなことあってはならないことははっきりとわかるよ私にだってこれは治療というより職務放棄というより殺人というよりなんだろうわからないわからないぞそりゃ私にだってわからないことはこの世には1つも2つも3つも4つも5つも6つもあるのさ。あるのさ。まあとにかくなんていうのかはよくわからないけれどそんなことはどうでもよくてよくないことはわかるんだよねよくないよくないよくない大体入場料はどうしたんだ私の分と救急隊３人？くらいの分だよまさか税金で賄っているなんてこたあないだろうね血税がこんな救急隊員のこんな用途に使われなんかしてたらこりゃあもうたまった、たまったもんじゃないよぷんぷんぷんぷんぷん。国民の怒りがどかんどかんおかしくないよほんと私にまで飛び火したって、こんな目にまであってもうどうしようもない国民の怒りの標的にされでもしたら。どうしようもない勘弁してくれえ。

「おいおいおい、救急隊員のお三方。あんたらいい度胸してるねほんとにさ。こんなこと許されるのかいね？ねえねえ許されるのかい？こちとら全身火傷の患者様なのですでござますなのですけれども。あんたら入場料はどうしたのよまさか税金で賄ったわけではないよねえ、まさかまさかまさかこんなことに税金を投入してはいないよね。」

　あの船みたいな乗り物に乗ってるお三方に向かってわたしゃ言ってやりましたよね。そりゃあもう大声で言ってやりましたささささささささ大声で。

「おおおおおお、目を覚まされましたかよかったよかった。おいおいおいおい目を覚まされたぞおいおいおい、おいおいおい。」

「おおほんとだねほんとだね。」

「目を覚ましたね覚ましたね。」

　３人は目を皿みたいにしてこっちをぎょろっと見てきましたなんだか壺みたいな人たちちょっと気味が悪かったけれど本気で喜んでいるみたいな感情は伝わってきたのこいつらふざけてるわけではなさそうだと思ってちょっと向き合い方を変えていかなければいけないなと思ったわけだどうやら何か考えを持ってやってるんだろうなでもまあそれでもおかしいよね全身火傷の人間をイッツアスモールワールドの水の上で冷却するなんてさ。

「なんなんだいあんたたち全身火傷の患者をイッツアスモールワールドの水で冷やそうなんて頭がおかしいのではないのか私の命をなんだと思っているんだ一体全体どうなってるんだ？」

「はいぃ、まあまあ当然こっちとしてもわかるんですけれどもそう考えるのは自然の流れだということはイッツアスモールワールドの水は火傷が治るのですそれはもう国家的最高機密なんですけれどもね全身火傷を負った患者を治療するのに最も適した方法はイッツアスモールワールドの水の上にぼっちゃーんとつっぱねることなんですよ。だって治ってきているでしょう火傷ねぇほらほらほらほら治ってきてらっしゃるでしょうほらほらほらほらほら。」

　３人の中で一番背の高い長ネギみたいな男が長ネギみたいな声で畳みかけてきたわけだけども確かに火傷が治ってきているわけなのでありましてなんだかよくわからない気持ちになってしまいましたわ。

「たたしかに治ってきておりますわー。しかしなんでなんですかねー。なんで治ってきてるんですかねー。イッツアスモールワールドの水はなんなのですかねー。」

「はいはいはいー。そいつはよくわからないのですがねイッツアスモールワールドの水は火傷に効くんですよはいはいはい。全くなんでなのかわからないのですがねー不思議なことに火傷に効くんですよーもっと不思議なことはね出すと全く効かなくなっちゃうのこの水をイッツアスモールワールドの外にねおんなじ水なのにさー不思議不思議ー。だったら火傷治療者のために解放しろって思うかもしれないですけどここをね、ねー世の中そんなに甘くはなくて権利を手放してくれなくてディズニーがねーどこの病院にも受け入れられなかった場合のみ特例でここに担ぎ込んでもいいことになってるんだよーだからあんたは逆にラッキーだったのよねー。ふふんふふん。」

　へえへえへえー。そうだったのかいなー。こりゃこりゃ勘違いしてすまんかったすまんかった。世の中不思議なこともあるなんだなあザッバーーーーンうぉぉぉおおおおおおおおおぉぉぉおおおぉぉイッツアスモールワールドの浅瀬を猛ダッシュ。

　完