第3話 【2022年版】ヒロイン達の逆襲!?
「はっぴーばーすでーでぃあ……かがみん~♪はっぴばーすでーとぅーゆー♪」
全員で合唱をすると、正面にいる男が蝋燭の灯を消す。
灯の消えたチョコレートケーキには2枚のプレートが刺さっていた。
一つは「琉水 魅希」と書かれたプレート。
会場を飾るスタンドフラワーはロイヤルガーデンしろやまからの花である。
設置も、ヒロインである白山菊理とその従姉妹で店長である白山茶梅である。
そういった経緯もあってヒロイン候補枠ですらないが、茶梅も参加していた。
そしてそれに対して声を挙げたのは最古参でもある友紀である。
「何故今年はプレートが2枚あるのですか?」
「それは自分用と、同じ誕生日である温泉ガールのキャラクターのだな。」
「あ、所謂痛い誕生日ってやつですね。」
元ヤンの恵と、昨年からこの会に加わった雛罌粟が続いた。
「両手に花どころか花弁乱舞だね。」
今年からの新顔である女から声が掛けられる。
「もしかして、仮面被ったライダーの最終回に次回作のライダーが登場するように、今回も……」
新顔を確認すると、咲来が呟く。
その腕には小さな赤子を抱いていた。どうやら咲来はエンディング後の世界からの召喚のようである。
「そういえば、私も昨年のこの時期に及ばれしましたね。」
そう言うのは百千雛罌粟。この場にいる多くが黒髪ロングでAカップという区別の付き辛い面々である。
かくいう雛罌粟も大人しい表情で黒髪にロングヘア―である。
せめて、髪型でも違えば人物の違いも付くというものであるが。
身長にばらつきがある事、数人だけ肩までのセミロングが混ざっているが、本当に区別がつき辛いのである。
名札を付けていなければ、顔と名前の一致は難しいだろう。
「と言う事は私達は同じ枠という事ですか?」
ヒロインズがそれぞれを見渡していた。
「私はショートだから一発でわかり易いね。色々あってバッサリ伐採したけど、この場だけでは個性を出せて良かったと思うよ。」
「良かったね、お母さん。この場にいるって事は一応はヒロイン枠って事らしいよ。」
あくまでヒロイン候補含むである。
「お母さん!?」×たくさん
お母さんと呼ばれ、大きな声で反芻されている。
それもそのはず、どう見ても20代なのであった。
「そうよ、私これでも3〇歳。アラフォーってやつよ。」
「アラフォーのヒロインって聞いた事ないですよ。」
「私も良いのかなって思うけど、仕方ないでしょ。今回の趣旨が親子丼なんだから。」
「親子丼!?
「私は
美結と呼ばれた女性は、他の人と同じく黒髪ロングである。尚、胸が残念な断崖絶壁なのはここの女性陣全員と同じであった。
夢月が周りを見渡してある一点を見つめる。
「この世界にいる限りはBカップへの昇格はありえないみたいね。」
「冒険者ランクみたいに言わないでください。」
もはや誰が喋ってるのか、わからなくなりつつある痛い聖誕祭であった。
「今年のヒロインは私って事で良いのかな?」
紹介された美結が自分を指差しながら話した。
「ちょっとまったー!」
ぞろぞろと数人の似たような黒髪ロングで、貧乳な女性達が遅れてきた参列者のように待ったをかける。
まだ作品化するか決まっていない、今はまだ名もなきJKや令嬢達である。
「今年は完全に俺は無視なのね。」
女性陣がわいわいしている中、神は絶望していた。
すると、正面の巨大なモニターに映像が映し出される。
映像の中のみすぼらしい恰好をした推定女性達は、鉄格子を両手で握って何やら大声で叫んでいた。
「私達も出して。」
「出してちょうだいよー。」
塀の向こうからの映像と音声が特別に友情出演させてくれていた。
安堂ともえと佐迫万凛子の懲役組であった。
それはまるで出演と出所の両方を意味しているようだった。
「でもあんたら、ヒロイン枠でもなければヒロイン候補枠でもなかったからな。出所したら女性用風俗にでも行って出して貰うと良いよ。ほら、レッツ赤羽!」
クズ女枠で採用された二人を適当にあしらうと、とんとんと肩を叩かれて振り返る。
「あ、これ請求書。」
最強・最凶・最狂ヒロイン、宮田音子が部下と子供達を連れて本日の貸切聖誕祭の請求書を持ってやってきた。
「それよりも完結して欲しいですよね。」
「そうですね。私達宙ぶらりん過ぎですよね。」
決して放置しているわけではないけれど、未完結のヒロイン達のいう事は、至極ごもっともだなと思う今日この頃であった。
「私の
作者の夢が詰め込まれた、花屋の店員ヒロイン・白山菊理からツッコミを受ける。
まだ主人公・咲真真糸にもバラしてない秘匿情報をここでバラさないで欲しいと思っていた。
「来年も完結してないようなら、誕生日ケーキのプレートに早く完結させろと書きますね。」
普段大人しい女の子の方が恐ろしいと思う
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