第4話いつも一緒

 僕が起きたのは、だいぶ時間が経ってからだったみたい。2人にずいぶんぐうぐう寝てたなって言われちゃった。しょうがないんだよ。いろんなことあって、お腹もいっぱいになって、お子様な今の僕は、睡眠が1番の体力回復だと思うんだよね。ほら、寝る子は育つって。


 今は夜中みたいです。フウが暗いからって、光の妖精を連れてきてくれたから、今僕の周りはとっても明るいです。さっき採った木の実の残りを食べて、そしたらトイレに行きたくなっちゃった。


「あの、といりぇ…。」


「ああ、その辺でして良いぞ。浄化すればいいからな。」


 浄化って?僕が分かってないのが分かったのか、ロードファングはとりあえずトイレして来いって。何か嫌だな。でも、我慢できないし。仕方なく隠れてトイレを済ませて戻ると、ロードファングは僕がトイレした場所へ。そしてその場所が少し光ってから、すぐに戻って来ました。今の光が浄化した光だって。浄化して、元の綺麗な土に戻したんだって。魔法って、そんな事まで出来るの?後で僕にやり方教えてくれないかな。


 さっぱりした僕は、改めていろいろな物を眺めました。まあ、光が届く範囲だけどね。花とか木とか見たことのない物が多いし、それに魔獣に妖精。本当にここは、僕が居た地球じゃないんだね。今空には月が2つ出てるし。


「ねえ、りょーどふぁんぐ?」


「何だ?」


「おうちかえりゃなくて、いいの?」


「…。」


 本当はこんな場所に、1人で置いて行かれるのは嫌だよ。絶対生きていけない。でもロードファングにも家族はいるでしょう。もし出来たらで良いんだけど、ここに街とかあるか分からないけど、そこまで送ってくれないかな。そんなことを、呂律の回らない口で、何とか伝えました。

 最初ロードファングは黙ったまま、じっと僕のこと見てて、僕変な事言ったかなって考えちゃったよ。でもね、僕とロードファングの間にフウが入って来て、お話再開です。


「ねえハルト。僕達と契約しない?」


「契約?」


「こら、いきなり言うんじゃない。順番というものがあるんだぞ。」


 契約って何?2人と何するの?ロードファングが説明してくれたよ。契約すると、ずっとみんな一緒に居られるらしい。僕ここの事分からないでしょう。もし迷子になっても、契約してれば僕のこと、どこに居るかすぐに分かるんだって。

 それから、2人の魔力も強くなるらしいです。僕の魔力は普通の人よりも、ちょっとだけ変わってて、しかも魔力の多さも多いんだって。へえ、そうなんだ。自分じゃ分からないけど。そういう人と契約すると、魔力が強くなるんだって。

 

「簡単に言えば、オレ達の飼い主になるって事だ。俺たちはハルトを気に入ったんだ。だから飼い主になってくれ。」


「うん、僕もそう。飼い主になって!」


 何か良い事ばっかり聞いてるけど、ダメなこととかないの?確か本では、契約主には逆らえないとか、契約を無理になくそうとすれば、お互いが死んじゃうとか、そんなのなかったっけ。僕がそう聞いたら、2人とも目を合わせないんだもん。やっぱりね。


「ふたりが、やなこと、しゃびしこと、だめ。」


 もしかしたら2人が傷つくかも知れないんだよ。そんな危ない契約だめだよって言ったら、ロードファングが僕の方をチラッ、チラッと見ながら言ってきました。


「俺達は、お前の温かい魔力に惹かれたんだ。それから、お前の行動にもな。」


 僕が穢れを恐れず、ロードファングを優しくなでなでした事をフウに聞いて、とっても驚いたみたい。そんなことする人間が居るなんてって。それから僕が無意識だったけど、穢れを祓ったときに、僕の魔力がとても暖かく感じたみたい。これもこんなに暖かいものは、初めてだったって。それから最後に、僕と少ししか一緒に居ないけど、それでも僕と一緒に居て、何か楽しいと思ったんだって。


 最後のは何か、うん、嬉しいね。だって一緒に居て楽しいって、言ってくれたんだよ。まだ、ご飯一緒に食べただけなのにね。久しぶりだよ、喜ばれるなんて。それに笑ったのも。叔父さんの家では、笑うとかそんなのなかったからね。えへへへ。

 僕が思わずに笑っちゃってたら、ロードファングが、


「くっ…。」


 って言って下向いちゃった。どしたの?フウが


「ハルト笑うと可愛い。僕達と契約して、いつもそばにいて笑っててよ。僕一緒にいれたら、とっても嬉しいよ!」


 どうしよう。契約しても良いけど、2人に何か嫌なことがあるの嫌だな。ちゃんとそこは聞いておかないと。さっき2人が目を合わせなかったこと。

 聞いたら渋々って感じで教えてくれました。やっぱり契約には強制力があるみたい。ロードファング達が戦いたくない相手とかに、僕が倒せって言ったら逆らえないとか、それから、僕が契約解除するって言わない限り、どこか遠くへ行きたくなっても、離れることが出来ないんだって。

 もちろん僕は、2人が嫌がるような事を命令したりしないし、契約解除して欲しいって言われたらするけど、でも契約してる間は、僕が2人を拘束しちゃうって事だよね。


「ふたり、やじゃない?」


 そこはもう1度確認。大切な事だからね。


「勿論だ。俺が望んで契約したいんだ。」


「僕もだよう。ね、だから契約してハルト。」


 そっか。そっか…。僕も2人と一緒にいたい。それにいつでも契約解除出来るみたいだし、大丈夫だよね。よし!


「ぼく、けいやくしゅる。いちゅもいっしょ。うれしいね。」


 僕がそう言ったら、2人ともニッコリ笑ってました。ロードファングの方は、ニヤリって感じだったけどね。でも、僕に友達が出来ました。これから3人いつも一緒だよ。

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