第3話自己紹介とさっき起きたこと
僕は座り直して、改めてロードファングに自己紹介。
「ぼくのなまえ、はりゅと。よりょしくね。」
「…ああ。」
反応が悪いなあ。元気よくなったなら、もっと何かあるでしょう。ああ、で終わりなの?フウはフウで、よっぽど嬉しいのか僕達の周り飛び回ってる。
「おなまえ、なあに?」
「俺に名前はない。それよりもお前に聞きたいことがある。」
え?名前ないの何て思ってる僕を無視して、ロードファングはかってに話を進めました。それはもちろん、さっきの穢れの話。僕もさっきのこと気になってたから、大人しく話を聞きました。
今回のことロードファングにとっても、予想外の事だったみたい。体が穢れに蝕まれ、苦しみながら自分が1番の落ち着ける、この花畑に着いたこと。自分を友達だと言ってくれるフウに、穢れに襲わないように近づくなと言ったのに、フウがかってに、治せる魔獣か人を探しに行ったこと。そしていよいよもうダメかと思った時、暖かい力が体に流れ込んで来て、全ての穢れを消し去ってしまった事。
ロードファングは静かに、でも僕がちゃんとに分かるように説明してくれました。
「お前は穢れを祓う力を持った、珍しい人間だ。」
「ぼく?ちがうよ。ぼく、なにもちてない。」
「気付いてないのか。おい、手を出してみろ。俺がその上に手を乗せるから、そのまま動くなよ。」
僕は小さい手を出したよ。言われた通り、手を乗せられても動かずに、そのまま少し時間が過ぎました。
「ふん。やっぱりお前は力を持っているな。」
手を乗せただけで分かるのって聞いたら、魔力の流れを感じとったって。もうね、ほんとファンタジー満載だよ。魔力?僕に魔力があるの?
「ところでお前はなぜ、こんな森の奥ににいる。家族はどうした?」
あ~。それもあったんだ。何かいろんな事がありすぎて、何から終わらせて行けばいいのか分かんないよ。とりあえず、誰にも相談出来ないし、このロードファングに相談するしかないか。あれ?そう言えばぼく、普通に魔獣と話が出来てるけど、それもおかしいんじゃ…。
僕は今までに起きた事を、ロードファングに全て話しました。光に包まれて気付いたらここにいた事。小さい子供になっちゃった事。もうそれはそれは、全てを話したよ。バカにされるかと思ったけど、ロードファングは、ちゃんと最後まで何も言わずに、話を聞いてくれました。
「そうか。俺もそんな話を聞いたのは初めてだ。悪いがその事で力にはなれない。」
「いいよ。ぼく、きにちない。はなしきいてくりぇて、ありあと。」
話をしたからなのか、少し気持ちがスッキリした気がしたよ。そしたら急にお腹が空いてきちゃった。今が何時なのかとか、そもそも時間とかがあるのか分からないけど、とにかくお腹が空いた。
僕がそう言ったら、木の実がある所に連れて行ってくれるって。ロードファングは伏せの格好して、僕を背中に乗せてくれました。僕が落ちないように、そっと歩いてくれる。本当に優しいんだね。
少し行った所に、たくさんの木の実がついた木の所に着いたよ。手が届かなくて、ロードファングにとってもらっちゃった。
ひと口食べてみたら、すっごく美味しいんだ。どんどん食べられちゃう。水分もバッチリだったから、喉渇いてた僕には、もう大満足のご飯だったよ。
木の実食べて、お腹いっぱいの僕は、こっくりこっくり。眠い…。
そんな僕をロードファングが、自分に寄りかかって寝ていいって。ありがとう。僕はすぐに寄っかかって眠っちゃった。
<ロードファング>
寄りかかってすぐに眠ったハルトを見る。すうすう穏やかな寝息を立てながら、眠るハルト。
本当だったら今、俺はもうこの世に居なかったはずだ。死ぬ場所を求めて、俺が1番好きな場所で死を待った。それなのに…。
突然の暖かい魔力が流れ込んできた。とても気持ちのいい、優しい優しい魔力。こんな魔力を持った魔獣が居るのかと思った。その気持ち良さのまま、眠っていた俺が目を覚ました時、私に寄りかかるようにハルトは倒れていた。そのハルトの体の上にはフウが。フウは私が起きた事に気づきと、ハルトを助けてと言ってきた。
確認してみると、ただ魔力を使い過ぎただけのようだった。フウに葉っぱを集めてこいと言って、その葉っぱで寝床を作り、その上にハルトを寝かせた。
フウに何があったのかを聞き、間違いなくハルトが私を助けたと確信した。
しかし目を覚ましたハルトにその話を聞くと、自分ではないと言ってきた。俺の間違いかと思い、魔力の確認をする。間違いなくハルトは穢れを祓う魔力を持っていた。
それからハルトに聞いた話は、信じがたいものだった。しかしその真剣に話す姿を見て、それが嘘ではない事が分かった。
お腹が空いたと言うハルトに木の実を食べさせ、今の状況だ。これからどうするか。ハルトの話から、家族がいない事はわかったが、このまま、近くの街の所まで送って行くか?そこからは、どこかの人間が助けてくれるはず。
いや、ダメだ。もし盗賊が出たら。ハルトなどすぐに殺されるか、穢れを祓う珍しい魔力に気付かれれば、奴隷にされてしまうかもしれない。そんなのはダメだ。それに…。
あの暖かい、気持ちのいい魔力。俺は、ハルトと一緒にいたい。人間と一緒に居たいと思ったのは初めてだ。もしこのまま別れてしまえば、2度と会えないかも知れない。それだけは避けたかった。
「契約するか…。」
人間と契約する。それはその契約した人間のために、力を使う事になる。命令は絶対だ。もしかしたら、やりたくない事も、やらされるかもしれない。それでも…。
まずはハルトが起きてから聞いてみよう。契約してくれるなら嬉しいが。ちょっとニマニマしてしまいながら、ハルトの匂いを嗅ぐ。子供独特のふにゃあっとした匂いだ。
早く起きろハルト。そして…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます