”仙術”閉幕
「アァーーハッハハハ!!! 素晴らしい! ノン様の予想を! 私の予想を!! 遥かに超える
シー様によって、タイチが死ぬか、良くて取り返しのつかない大怪我を負うと踏んだノン様。
それでシー様の
私はタイチに何かしらの勝算有りの”秘策”が有ると思っていましたが、こうも見事で呆気ない勝ち方をなさるとは!?
「何だ!? 何だ!!?」「
「チィーーヒッヒッヒ!! 五月蝿いですよ!! ”
御覧なさい荒れ狂う観客達を、
「実に私好みの”
「………………」
おっと、私ばかり楽しんでもいられないですね。
ノン様が計画が狂ったことに、あんなにも肩を震わせて黙り込んでしまっています。
さぞ、お怒りなので___
「____くっくっく! アーハハハ!! コントン、見よ! あの父上の苦渋に満ちた顔を!!! 愉快だ! 愉快だな!!」
___は、無いようですね。
ーーーーーー
「
「王者は慌てず、ですか。シー様を殺せるような強者に”仕込む”には、私が
計画が狂ったことも想定内だと言わんばかりに、冷静に補正した計画を打ち出すノンに、
「次に誰に仕込むかは、おって連絡する。今は傷つき、疲弊した身体を休めると良い」
「は、かしこまりました」
ただただ、この未来の王者に、ただただ、狂乱の支配者に、ノンに付き従って、正解だったと思いながら、コントンは去るのだった
ーーーーーー
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
ー
__計画が狂ったことに、
去って行くコントンが見えなくなり、憑いているという”繋がり”から距離が離れたことを確認する。
____
かなりの距離が離れ、コントンが密会の為に使った”人払い”の【
______ノンは、
「クソがぁ!」
試合会場の観客席から少し離れた、試合の熱気や興奮を冷やす、そして一服するための休憩所のベンチが壊される。
「糞タイチが!!」
”無手”に参加できる程の腕前、素手で捻じ曲げられ、蹴りで高く蹴り上げられる。
「1度ならず2度までも、俺の計画を狂わせるか!!?」
”仙術”に出場できる程の腕前、哀れベンチは何も無かったように砂塵へ、
「____ねえ、」
コントンの【仙術】によって、ノンの怒りに任せた騒動に気付く者は
__『
「おじちゃん、嫌なことがあったの?」
創造神、”全知全能”の
タイチの住む街、”
ーーーーーー
「あれ? おじちゃん、何処かで会ったことあったっけ?」
「……さっき、ぶつかった
以前、シライシとの騒動の際に二人は会っていた。
しかし距離は離れていたし、ノンは
「そだ! さっきは、ごめんなさい!」
その為にクゥイがノンを、この国の皇太子、帝位継承順位一位のノンだと気付かなかった。
気付かなかった、思い出さなかった、今はソレが、ソレが良かったのだ。
皇太子ともあろう者が、怒りに任せて暴れていたところを下々の者に見られたと知ったら、分かったのなら。
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ーー
ー
タイチの優勝を祝う前に、クゥイが花を摘みに行った帰りのことだった。
一人の男性が怒り狂っているのに、
誰にでも優しく、困っている人を見捨てない、
「困ったことが有るなら、クゥイが手伝いまー! クゥイで無理なら、タイチ
「ああ……いや、良いんだ。これはね。おじちゃんが、自分で解決しないと意味が無い事だから」
無邪気な善意に触れ、怒りと毒気が抜け、冷静さを取り戻したノンが平静に対処する。
「そか~。なら、クゥイは、おじちゃんが頑張れるように応援するね! フレフレ、おじちゃん! がんばれがんばれ、おじちゃん!!」
「? どしたの、おじちゃん? どこか痛いの?」
「____えっ?」
ノンはクゥイに言われるまで、自分が静かに、一筋の涙を流していたことに気付かなかった。
当然、皇太子として尊敬や嫉妬、様々な感情をぶつけられたことは有る。
皇太子としてだけでなく、ノンという”個人”を認められ、評価や賛辞を送られたことも有る。
だが、見ず知らずの状態、完全な”他人”の状態の自分に優しくしてくれた人物に出会ったことが無かった。
「どうしたの!? やっぱりクゥイの応援じゃ、元気でない?」
他人の血を、地位を、命を求める欲深き本性が、ノンの仄暗き本性が、クゥイの無邪気な善意で雪解けしたためである。
「やっぱり、タイチ
「そんなことは無いよ。おじちゃん、元気が出て来たよ」
そう言って笑うノンは、憑き物が落ちたような柔らかな微笑みだった。
グゥァンウー・ノン、
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ーーー
ーー
ー
ーーーーーー
ああ、なんと輝かしく、羨ましく、眩しいのだろう。
俺が持っていない善性、
__『タイチ
ああ、なんと浅ましく、妬ましく、憎らしいのだろう。
俺には無い人望、人徳、このような素晴らしい少女に慕われるタイチが、
____『__タイチ
邪魔なら、殺そう。
シーよりも、帝位のために邪魔な妹よりも、俺の幸せのために。
______『タイチ
何をおいても真っ先に、俺の障害となるタイチを____殺そう!!!
ーーノンの生涯最大の恋と
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