”仙術”予選~タイチ包囲網~

 激戦が予感される予選の二回戦目、タイチ対ニーナが行われようとしていた。



 モノを模倣出来るニーナ。




 __『それでは____”開始カイシー”!!!』




 では、モノなら?




 同じ釜の飯を食い、語らい、良く知るモノだったのなら!!!






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「ポンポコ、ポン!!! 【変化テスラ・シャイン___




 ”無手”の時の様な【精霊技変化】、【精霊技みたいに】ではなく、【神技】!!!




 ___なるですよーー!!!」



 ”球体”からの光が減るのと反比例するように、ニーナの身体が眩い程に輝いていた!






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 見れば【精霊技ジンリンジー】、触れば【神技シェンジー】、対象を知れば知る程に精度を増す【変化ビィェンファ】。

 対象とした”玄武物質”を任意のモノに”青龍変質”させる【仙術シィェンシュ】。



 基本的に、ニーナが使えるのは”物質自分”を”変質他人”の肉体に【変化】させること。

 あくまでも肉体だけを【変化】させるだけで、対象の記憶や感情、技術、考え方などは別の【仙術】で補っている為、精神や内面にニーナが混じることが多い。

 その為、ヨシコになった際は面影や言動にニーナが混じっていた。




 であるテスラ。






 __ニーナが【変化】が使える以上、テスラになることは予見出来ていた。




「おいおい! 予選で、が出てくるか!?」




 ____しかし、それはヨシコになった時の様な、劣化コピー面影を残した状態。




『”仙術”で吾輩わがはいと戦うことになったこと! それが!! タイチ殿の敗因なのだ!!!』




 _____タイチの目の前に居るのは正真正銘、まさしくテスラ・シャインそのものだったのだ!!!




吾輩わがはい勝利栄光の糧となれ!! 【閃光フラッッァシューーー】!!!』


 テスラと【変化】したニーナが、光り輝く!!!






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 __『勝者! コレエダ・タイチ!!!』






 この世界の住人、タイチが共有した【隠蔽】を味わってもらおう。




 他者からの観測による、の入手を【隠蔽】する。

 主に物質を生み出す玄武シェァンウーや肉体の強化をする白虎パイフーの【仙術】では、その製造方法、そこまでの肉体にする鍛錬方法。

 そういった青龍チンロンの【動作の最適化流れ】、【武道】を使った当人以外が、不当に享受しないようにするために世界の”縛りルール”。




 全くの新人であるテスラが使う【仙術】を知らぬ者達が、使知ることは出来ないのだ。




 例えば、ニーナが完全にタイチに【変化】し、自国で【武道】の指導をしたとしても、指導を受けた者達は【武道】を覚えることは出来ない。

 ”仙力”という代金を払った者だけが、基本的に恩恵を受ける権利がある。




 ゆえに、を知る者でなくては、正確な試合内容は分からない。




 多くの者は”無手”で見せた【閃光】の後に放たれた【神技】をタイチが【瞬歩神技】で躱す。

 そのまま近づいたタイチが【雷波紋レイブォウェン】を至近距離で放ち、あっけなく決着が付いたことだけが分かったのだ。







 そう、と、その戦法を知る者達以外は……。






「テスラ! ここまで、お膳立てして貰ったのよ! 無様に負けるなんて許さないんだから!! アタクシもニーナちゃんもね!!!」


「__っ!? だから、大きな声を…………。分かっている、リトルゲートじょう。現状のままなら、吾輩わがはいがタイチ殿に負けることは、のだ」


 極東の島国”洋露波ヤンルーブォ”の真の”仙術”代表であるテスラの勝利のために、ニーナは捨て石となった。

 これで本選で、テスラに対しての対策を見られたタイチの不利が決定してしまったのだ。




「さすがは、アタクシのテスラ! 期待しているわ! それと、あと! ジェーンと呼びなさい!!!」


「__っ!! だから、大きな声……」






 ・現在のタイチの仙力は【神技】、2.2回分。






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 続いての対戦相手、ヨシコの”仙術”での戦法にが介在する余地は少ない。

 純粋なる青龍の高い”適性”で躱すこと上手いうえに、飛来物などの軌道流れを乱す【乱流ルゥァンリウ】を使える。

 遠距離攻撃しか通用しない”仙術”において、ヨシコに攻撃を加えるのは実質、と言って良いだろう。




 加えて___




「わたくしの”属性”は”音”。わたくしのことが聞こえた時点で、【消力シァォリー】に掛かっておりますゆえ~~」




 ___ヨシコからの攻撃を




 ヨシコの仙力シィェンリーが切れるのが先か、相手の仙力が切れるのが先かという戦法。

 どちらの仙力がを争う持久戦。






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「も、もう、堪えきれませぬ~。降参でして~」


 __『勝者! コレエダ・タイチ!!!』


 ”球体”からの仙力回復、自身の仙力、体力を仙力に無理矢理に変換、ありとあらゆる手段を用いても、タイチに勝てる要素がヨシコには無かった。




『【波紋ブォウェン】のようにのでなく、指向性をもって飛ばすのは五月蝿い朱雀の【仙術】』


『間違っても、同じことを試そうと思わないことね。全方位への無差別な”属性”の垂れ流し。完全な仙力の無駄だし、タイチのような【スキル】でもない限り、”火”で”風”で自分も傷つくだけなのだから』


 指向性を持たすことのできない”適性”のヨシコが放つ”属性”は、自身をも傷付け、お互いのダメージは一定になる。

 ゆえに、最初から仙力量に圧倒的に差の有るタイチには勝てる要素が無いのだった。



 これが”仙術”において、格下に必ず勝ち、格上に確実に負けるヨシコの戦法!




、自国代表に助力はしても、妨害は致さぬもの~』


「後は、任せましたゆえ~。頼みましたよ、シロさま~」


 己の勝利を捨て、国の為に尽くす、献身の戦法!!






「シロちゃんに任せとき! 万全なら、まだしも。へたばったタイチはんなら、楽勝やん!!」


 後に控える、自国代表の特級妖魔ヤオモ九尾ジゥウェイ”へのアシストの戦法!!!






 ・現在のタイチの仙力は【神技】、1.3回分。






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「あああん! もう!! タイチ様ばっかり激戦が多すぎです! タイチ様の仙力は、後どれくらいですか!? このままだと”仙術”での優勝が! 私の生活がぁぁああ!!!」


「私はタイチさぁんを信じていますけど、戦いについては分かりませんから心配ですねぇ。もう運命の人タイチさぁんが【消滅】する感覚は味わいたくありませんから」


 チィェンジィェンが様々な感情からタイチを心配し、【仙術】の、”仙術”の専門家であるホンに状況を訊ねていた。



「試合ごとに【神技】1回分は回復するし、問題無いわ。優勝するのはタイチよ」


「フフーン! 賢いボクがジィェンママムーチンの代わりに問題を指摘しますよ! 相手の【神技】を相殺するのにタイチさんは【雷海レイハイ】しか無さそうですね」


「そだね。【仙術】の相性とか戦法とか色々あるけど。燃費が悪い戦法のタイチ様が勝ち上がるには余裕が無くなってきてるように、僕も思うよ」


 いまだに優勝を断言するホンに対して、的確な反論をするシンとガンであった。




「タイチさんが【雷海】を使い続けることになったら、決勝では撃てなくなります。ちょっと厳しいかもしれませんね」


「リウ、貴女も。”いかずち”の【仙術】を」






「アレならば確実に1度だけ。コレを開ける気軽さでタイチが勝てるわ。それを考えたら、何も問題は無いわ。優勝するのはタイチよ」


 帝都ムーダンに行ってきました・クッキー≫を開けながら、タイチが優勝することを確信していた。






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