ダメ男
女性の中でも小柄な方だった上に、若返ったために
「チィゥ・リー姐様。この方たちは誰でしょうかぁ?」
十数年は若返っている上に、数度の面会しかしていなかったので気づけなかった俺を殺した奥様、今の名前は”
ジィェンの視線は俺とツァンだけにしか向いておらず、リウやガンちゃんのような精霊が見えるほどの実力者ではないようだ。
「このタイチぃは、アタシがジィエンちゃんを”自由”にするために呼んだぽよ」
「”自由”……ですかぁ。
俺の名前を聞いても気付いていない様子で、リーの話を自虐的に笑いながら聞き流している。
「
あの糞野郎が女神と衝突したように、いまだ繋がっていた異世界への穴に後追い自殺で入ったは良いが、その時には糞野郎の側の穴は閉じられていたとかなのだろう。
結果として俺と同じ世界へ流れ着き、俺のように異能が有る訳でも無く、糞野郎のように女神のサポートも無い。
「確かに、
何も持たずに、この世界に迷い込んだ”迷い人”の苦悩を表すようなジィェンの怨嗟の慟哭が響き渡る。
ーーーーーー
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
ー
「あ~~あ。
ジィェンの慟哭と、すすり泣きだけが支配した部屋にガンちゃんの暢気な声。
部屋に居るガンちゃんを除く誰一人として、俺が決断したのに気付いた者は居なかった。
『通常の迷い人なら、コレ1つで人生を謳歌できる』
「ジィェンさん。俺も”迷い人”だ。神が人の”願い”を叶えると約束する時に渡す”媒介”というものがある。俺はソレを使って、この世界での消滅を遅らせている」
思い返すのは神・
「俺は通常の”迷い人”と違って1年しか生き長らえないが。ジィェンさんのような”迷い人”なら1生分だ。俺はソレを集めている。……望むのなら、同郷のよしみ、___」
「___ソレを1つ、貴女のために使おう」
ーーーーーー
「アッハハハハハ!! 玄武様の”媒介”を報酬にアタシの”願い”を叶えてもらおうと思ってたのに、叶えるために1つ使ってたんじゃ……ただ働きぽよ~~!!」
「ちょっと!!? タイチさん!! お節介にも程が有りますよ!!???」
「偉くて賢いボクでも理解できませんよ!!? 割に合ってませんよ!!??」
部屋にリーの大笑いと、リウとシンの叱責と呆れの声が轟く。
消滅を避けるための【
同程度の
「……生きていける? でも、私には
「生きる意味が無い。あの人以外に抱かれるのが嫌だと、ジィェンさんは言うが。自殺するでもなく、貴女は
現代人の感覚として、ただ単に自殺する勇気と理由が足りなかっただけなのだろうが、説得するためにソレっぽく語る。
「本当は生きていたいのです。ジィェンさんは若い。新しい恋か、人生を生きた方が良いと思います。見たところ、私と同じ世界の出身。同郷のよしみで手を貸しましょう」
「……新しい恋……
俺の詭弁に騙され、自暴自棄だったのが改善されたのだろう。
輝きを失っていた瞳に、前向きになったことを表すように輝きが戻ってくる。
「これでジィェンの”自由”の障害。消滅の問題は、何とかなる訳だけど~。肝心の身請け代は、どうするの? アタシからの、お金は使えない。お金も生み出せない。
「タイチさんがタバコや銃で無駄遣いしていなくても、妓女を身請けするだけの大金。用意なんて無理ですよ」
金とマフィアの問題を全て解決する案なら、すでに出来ていた。
俺はソレを自信満々に、高らかに宣言する。
「簡単な事だ!
女性陣からの、ダメ男を見るような瞳が痛い!!!?
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