不可解な≪指名依頼≫
薬草採取を終え、日も暮れはじめたころの傭兵受付は混みあっていた。
その業務の性質上、日雇いの労働が多いので当然のことである。
「おい、アイツだ」「マジで”
小言の多いリウ、今まで暇だったので構って欲しいガンちゃんとの会話が多いので、見えない奴らの不審な視線を避けるために、二人には出来る限り【実体化】させているが、逆に好奇な注目を浴びてしまっている。
「あ! あそこの受付が空いてますよ、タイチさん。行きましょう」
「……いや。リウ、普通に並ぼう」
初めて訪れた時に、
しかも、
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ーー
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「常時依頼の≪
「あ、あはは……。それは運が良かったですね。……ですが、私では受付できません」
長いこと並んで、ようやくたどり着いた小太りの男の受付が、冷や汗を流しながら拒否してくる。
「…………」
俺が特別扱いを嫌って、普通に並んでいるにも関わらず
「………………」
ジッと俺の方を見続けながら、
「……………………」
俺が並んだ二つ隣の受付に対して、笑うという行為の
「……すいません。まだ、
「こちらこそ、悪かった。つまらない
観念して、空いている受付に向かう。
ーーーーーー
「嫌ですよ~~。タイチ様の
勝手に俺の
こういうのが嫌だったから、今日は常時依頼をしようと決めていたのだが、捕まってしまった。
「ま、冗談は、これくらいにして。タイチ様に≪指名依頼≫が入っております。タイチ様の
「おお~~! 凄いね、タイチ様。仕事を始めて1月で≪指名依頼≫が来るなんて! すっかり有名人だね!!」
「そうですよ! タイチさんは凄いんです! 我が主、
≪指名依頼≫が入ったことを素直に喜ぶガンちゃんと、チィェンの真似をして周囲に俺が
「とりあえず、その≪指名依頼≫とやらの内容を聞かせてもらおうか?」
「かしこまりました。内容は、こちらです」
≪指名依頼・会いに来てちょ♪・大銅貨1枚≫
「なんで
依頼内容のあまりの特異さに、驚きと怒りを露わにしたリウの叫び声が響き渡った。
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ー
「本来なら大銅貨1枚の依頼で≪指名依頼≫は無理なんです。今回は依頼者が特殊で……。この
「依頼内容は、
まだ傭兵の等級が低い俺が、≪指名依頼≫を断るのが難しいことを分かっているので依頼という形で面会の機会を強制的に作ったのだろう。
「さすがはタイチ様です。聡明で話が早くて、
”リーの大切な人だから、丁重にね♪”と書かれたカラフルなカードを受けとる。
「この街に来て1ヶ月。行く金も、行く用事も無かったが。街の大体の地理は理解しているつもりだ。街1番の
「まあ!? タイチ様は2級
話が聞こえていたのであろう周囲の受付嬢から無言の
前世では”
「前世で、どれだけストレスが有ったのか分からないけどさ。今のタイチ様は若返ってるし、表情に
「その甘いマスクで女性を騙すんですね。酷い人ですよ。皆さん! このタイチさんは、タバコは吸うわ! ”銃”なんて子供の
俺の評判を良くしたいのか悪くしたいのか分からない精霊達の発言を聞き流しながら、不可解な依頼を受けることになった。
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