神の従僕☆
西洋のファンタジー小説やゲームで良く見る翼の生えている
『内在する
さっきまでの
この竜の
「突然の来訪を、お詫びします。これ以上、棲み処を騒がしくしないように、早々に退散いたします」
この竜の心象を悪くしない為にも、早々に立ち去ろうと身体を起こすために水面に突き出た岩を掴んで立ち上がろうとする。
「え!?? おっふう!!!」
『ほう!!?』
掴もうと思っていた岩を
感覚は有るが、手が、腕が、
『軽く視ただけ、推し量っただけだったが。お前の仙力は大したモノだな。もう
掴もうとした岩に身体を預け、立ち上がろうとする直前で脚も、腕と同じように幽霊のようになり、立ち上がることが出来ない!!?
「これは、いったい……どういうことなんだ……」
『ここから離れてから消え去ると思っていたが、なかなかに規格外の”迷い人”なのだな。お前は。情けだ。
予想外の連続に困惑する俺に、青き竜が答える。
『何事も限りがある。食料、能力、仙力、魂さえもだ。この世界に
手足を幽霊のようにされ、腰、胴、頭と消えゆく実感と恐怖を感じながらも、生き残るための情報を竜から得ようと、叫び出しそうなのを堪えつつ黙って聞く。
『通常なら、もっと後。消滅も、もっと緩やかだ。だが、ワシですら見誤るほどの莫大な仙力。世界が、
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『アッハッハッハ!!! 素晴らしい!! 勇者に相応しき仙力! 混乱する中でも、ワシに詫びを入れて、退散しようとした礼節!!』
一心不乱に、竜が高らかに笑っているが意に介さず、一心不乱に!
『少ない情報から、的確に最善最良の方法を選び出す知性! そして、それを躊躇なく実行する度胸!!!』
岩に預けていた身体を
『消滅の前に、窒息という苦しき死の可能性がある選択だが……そうだ! それが正解だ!!』
俺の脳内に、あの
仙力を奪い返すために消滅されるのならば、消滅を遅らせるには新たに仙力とやらを蓄えればと考えたのだ!!
”神”が長年にわたって浸かっていたであろう池の水に、世界が取り返そうと躍起になる仙力とやらが含まれていないはずがないと判断して、一心不乱に水を飲む!!!
『気に入った! ワシの名において、しばしの在留を許そう!!!』
途端に、手に、腕に、脚に、腰に、実体が戻り、立ち上がることが出来るようになる。
「……お礼を。命を助けてもらったことに感謝をします。……それで俺は、
「ますます気に入った。対価が要求されると分かるか。その通りだ。この世界と同様、
俺を
「妙な気配がしたと思い、
「”
中空から現れた白き虎が、俺を品定めでもするように周囲を飛び回りながら、見つめてくる。
「俺を見ても動じない胆力。これ程の仙力を持ちながら、青龍に関心を抱かせる時間を与える程、残留できた機転。……良いと思うぞ。
ーーーーーー
「つまり、貴方がたの代わりに、”願い”を叶えてくれば良いと?」
「タイチよ。お前の世界では、どうだか知らぬが。
要約すると俺の世界でも見られたが、学問の神に恋愛成就を、商売の神に健康祈願を、交通安全の神に安産祈願をする馬鹿が増えている。
もし仮に、俺の世界の神が”願い”を叶える義務が有ったなら、対応した神に案件を振れば良いのだが、この世界の主な神は”四”。
河川の反乱などの水難の抑止、正しき流れを指し示す、水の神”青龍”。
日々の健康、強靭な肉体を授ける、風の神”白虎”。
五穀豊穣、地盤の強化、日々の生活を守る、土の神”
煮炊き、鍛冶、破壊と創造の象徴、火の神”
対応できる幅が狭く、出来ることを組み合わせても”願い”を叶えることが難しくなっているのだ。
「お前にとっても、悪い話では無い。ワシらの代わりに”願い”を叶える過程で、いつしか世界から
こうして、俺の第二の人生が、幕を開けたのだった。
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