昔と違う生き方
”
死んでからの驚きの連続で気にする余裕が無かったが、
「俺の世界の東洋系の服に似ているな。文化みたいなものは、どんな感じなんだ?」
死んで魂だけの状態から異世界に転移することで、魂が覚えている
だが、この世界の文化や風習、法律みたいな最低限は必要になる知識が、俺には無い。
「う~~んとね。タイチ様の世界基準だとね。昔の中国? そういうのに近いみたいだよ。それに”
そういう足りない部分の補助に青龍と
知識や文化の革命を目的に、青龍や白虎の上に当たる
「分かりやすい説明で助かるよ。
「”ガン”だけだと可愛くないから。ガンちゃんって呼んでよ。僕らが付くような”招き人”は文化系ばっかりだからね。
白虎から付けられた精霊、桃色の髪の虎の獣人のような女性のガンちゃんが、背後霊のように浮かびながら、褒められたことが嬉しいのか、照れながら微笑む。
「文化系ばかりか。物語で良くある”勇者”みたいな肉体系は招かれないのか?」
「そっちの世界で言う”魔王”みたいなのが居ないからね。全人類の敵。この世、全ての悪。そういうのが居ないのに呼んじゃうと駄目なんだってさ。僕はバカだから、よく分かんないけどね」
軍事的な面で、特定の勢力や国家に武力が集中するのは良くないと、創造神とやらが考えた結果なのだろう。
そのおかげで、暇で退屈していたガンちゃんが、最初から俺と友好的に接してくれようとしているのは嬉しいことだ。
「お喋りなんかしてないで、さっさと歩いてください! 夕方までには、街に着きたいんですから!! 迷い人さん!!!」
青龍の付けてくれた精霊、青みがかった長い黒髪のトカゲの亜人のような少女”
「
『リウよ。この者、タイチを不本意だろうが、街まで連れて行き、当面の暮らしが成り立つまで面倒をみよ。その後は、好きにするが良い』
青龍も言っていたように、俺を一刻も早く独り立ちさせて、新しい気高き”招き人”の付き添いに備えたいという想いが、リウの俺への当たりの強さに出てしまっていた。
俺の妹達の中に、齢不相応に背伸びをしたがる、オマセな妹が居たことを思い出しながら、リウの叱責を聞き流す。
「僕はタイチ様が独り立ちしても、暇だろうから付いて行くよ。仕事が無ければ、
俺へのフォローのつもりなのか、ガンちゃんが満面の笑みで少し怖いことを言う。
矮小な人間の考えが大いなる精霊様には、ちょっと理解できないのだろうと勝手に解釈することにしよう。
ーーーーーー
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
ー
その後も主にガンちゃんから、この世界の文化や風習なんかの予備知識を尋ねながら、人里へ向けて森を歩く。
正しき流れ、水の神である青龍の精霊のリウが道案内に適しており、俺達の前を先行していた。
「軍事。武器のレベルは、どれくらいなんだ? ”招き人”が文化系ばっかりなら、その辺の技術は高いのか? 例えば、
「静かに!! 黙ってください!!!」
突如、先行していたリウが停止し、辺りを警戒し始める。
「シャオ・リウ。問題無いと思うよ。妖魔の声と匂いがするけど、狙いはコッチじゃないみたい。女の人の声もするし、狙いはソッチみたい。
「ガンガンが、そう言うなら問題ありませんね。
……ちょっと、待て。
「誰かが妖魔とかいう魔物に襲われてるんだろ? 助けようと思わないのか?」
「
理解できないといった風なリウと、リウよりかは俺の考えが分かるのだろうガンちゃんが、
「私達の言われた仕事は、迷い人さんの独り立ち。私達の
助ける必要が無いと言い切るリウは、昔の俺のようだった……。
貧しい家族の為に、他の家族の幸せを壊すような仕事をしていた俺のようだった。
「リウやガンちゃんには無くても……」
だが、弟達、妹達が独り立ちし、縛り付けるものが無くなった俺は、
「俺には! あるんだな!!!」
「あ!? 迷い人さん!!??」「タイチ様!??」
襲われている女性が居るであろう場所に、精霊達を振り切るように走り出す!!
俺には距離が離れている妖魔の声や匂いを感じ取れないが、培った洞察力で、リウやガンちゃんの視線や反応から、方向は分かっている!!!
元居た世界で結果的に死んでしまったが、今でも
あちらでは家族や友人が居るので、手荒なことは出来なかったが、この世界では縛り付けるものなど無い!!
俺は、俺の心の赴くまま、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます