朝日の溜まり場 光も闇も直通する土地甑島へ

コシキ1


送った風が回っている

台風がいくつも去った跡に

落ちている波の音を

そっと聞きながら回っている



コシキ2


牛が逃げているのではない

島が変わっていくのだ

落ちている波の声を

と、その牛は教えてくれたのだった




幾度刻めば

許されるのだろう

あの人もまたあの人も

一度ここで泣いた



コシキ3


木々は葉を落とし腐葉土で

常に世界を土にしたい

アスファルトも海も君の心も

全て大地にしたくてたまらないのだ



太陽


知らない言葉で

語りかけてくる

まだ届いたことのない

朝日の求愛



コシキ4


君と私はギリギリ手が届かなくて

いつも瞬きで確かめ合った

誰かが橋をかけてくれるらしいけど

手が届いてしまうことが怖い




ひらいて

むすんで

光って

笑う



(「無責任」別冊第一号より 詩作品部分を抜粋)


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