ヒトデナシのキグルミ
思い出の白い服は着れないから
青く染めよう
青空も好きだった少し嫌だ
赤く染めよう
夕日もよく見たっけな
黒く染めよう
そういえば夜は二人笑ってた
白く染めよう
新しい服ばかりが
部屋にたまって
包まれるはずの自分自身が
どこかに行ってしまった
キグルミを作ってみるよ
できるだけ残忍に見えればいい
誰も近付かないような顔で
道の真ん中を歩くよ
見失われたままの自分だけど
キグルミはちゃんとまとえたよ
世界は少し小さくなって
地平線をつかめそうだ
皆がとても急いでどこか行く
青空も夕日も気付かずに
夜の闇の黒の深さ
その中で魂の光見つけた
三年の月日が流れて
初めて優しい言葉をかけられた
聞き覚えのある声で
視界が不思議な方向に歪んだ
こんな姿をしているよ
心の中でささやく
実はもう二度と戻れないんだ
嘘くさく抱きしめて、笑った
(「無責任」第二十二号より)
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