第17話 生活魔法♡ ♡精霊契約 

「お湯」湯船に向けて杖を向ける

  イメージ通りのお湯が出た。

「止まれ」湯が止まる。 便利だ。


湯船にゆったりとつかる。

次は 杖先を持って 左掌に向けて構えて「シャンプー」

 少し疲れたけど ちゃんとシャンプーが出てきた。

もしかして 異世界からの取り寄せには 魔力がたくさんいるのかな?


魔力節約のために あとは普通に頭を洗い 浴室備え付けのせっけんで体を洗った。


再び湯船につかって のんびりしていると 浴室の隅に光るものが見えた

もしかしてと思い「精霊さん」と呼び掛けてみた。


「名前をつけて」かすかに聞こえる声


「ティンカー」

  呼びかけると 光がはっきりとして

「はじめまして」と言う声が今度ははっきりと聞こえた。


「ティンカー あなたは精霊なの?」

「そうだよ」

「これからよろしくお願いします」

「いいよ」

「私を助けてくれる? いろいろ教えて欲しいし 力を貸して欲しいの」


「いいよ 君が僕に名前を付けたときから 僕は君の契約精霊になったから」


「あなたは 何の精霊?」


「僕は光。精霊には 光 火 水 土 雷 緑系 力系 その他いろいろがある。

 精霊契約に数の制限はないけど 契約者の能力や力によって 契約できる範囲がきまる」


「なるほど」


「契約するときに 自分の希望を言えば 精霊は希望された力が強くなる

 種族とか精霊の個体の性質を見極めて 個別に契約すると その精霊の持ち味が生かせる」


「そうなの。あなたのもともとの属性と 今のとは かわってしまったの?」


「僕はもともと説明好きな妖精だったけど 君が 僕を精霊と呼び掛けてくれたので

 光の精霊になることができた。だから僕としては幸せな変化だね」


「もっと説明してあげたいけど 今は風呂から上がって身支度したほうがいい

 王様が向うの部屋で時間を気にしている」


「わかった。ありがとう」


風呂から上がりながら「杖をここのタオルで拭いてもいいかしら?」

「この杖なら 水洗いしても タオルで拭いてもだいじょうぶ。

 このタオルなら 糸くずが残る心配もないから 安心して」


というわけで 杖はタオルで拭いて立てかけ ドレッサーの前に座った。


ドレッサーの中にあった 石製の滑らかだが重いくしで髪をとかして

杖から出る風の強さと温かさを確かめた後 杖ドライヤーで髪を乾かす。


杖を置いてくしを入れる。

 直毛なので すとんとした髪型だあ まあいいや。


寝室に戻り 指定された服を身に着けた。

ズボンは 少しつっかえたので 杖をとって「補正」と唱えると

ぴったりとなった。屈伸も楽にできるし 姿見に移した姿も 折り目がとおってきれいだ。


身支度ができたので 隣の部屋に行った。


ドローはズボンに目をやり 目を見開いた。

王様は にっこり笑って「生活魔法が使いこなせたようでなにより」と言った。


そして大股で近づいてきて ぐっと私を抱き寄せ 耳元でささやいた

 「契約精霊の名を人に知られぬように気を付けろ。お前と精霊の身を守るために」と

さらに抱き直して 今度は反対の耳にささやいた

「精霊が見える者は少ない。精霊契約をしていると知られれば誘拐の危険度がます。知られていなければ最後の切り札になるのも精霊契約。だから隠せ」


情報過多でパニックっている私の体を支えて自分の体の正面に持ってきたウィリアムは 「結婚しよう! 君がウンと言うまで こうやってプロポーズを続けるからな」と言った。


「やめてください! 虫よけプロポーズの演技は!」とがんばって言ってみた。

案の定 王様は「虫よけの香をたくよりも このほうが楽しい」と言って笑って見せた。

(なんかこの 演技 めんどくさいんですけど・・・というか抱き着かれるのは困る)


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る