第18話 お披露目
事前の打ち合わせ通り、衛視隊長に先導され謁見の間に入り 王座に座るウィリアムの横に行った。
私の後ろには 金色の
入室後すぐに 扉のわきに立った衛視隊長の横を通り私が中央に歩み寄るにつれ
ざわめきが広がった。
御婦人方は私の衣装センスを評価することに忙しい。
騎士たちは 私の腰の刀に眉を寄せ、神職の者達は喜色を示すものと不快そうな顔をするものが半々
男達は 魔宝剣や杖に反応を示した。
事前のレクチャー通り 各自の職能・派閥に応じた反応であった。
(ウィリアム・エドガー・ドロー3人がかりの説明ありがとうございました。)
私が傍らに近づくと 王は立ち上がり私に向き直り軽く会釈した。
「神子どの よくきた」
私も立ち止まり軽く会釈する。
王は右腕を差し出し 私が彼の横に歩み寄る。
二人並んで正面に向き直る
王の右腕は 私に触れる寸前の位置で私の腰に手を回すようにとどまっている。
「皆の者に紹介しよう。
昨夜 神子殿が降臨された。
最近 神殿で不正に執り行われていた数々の神事の真似事をいぶかしみ 不審に思われての視察である。
我は天の声に従い、神殿に駆け付け、神子様をお迎えすることに間に合った。
今後しばらくの間 神子様はこの地にとどまり視察を続けられる
皆の者は 隠すことなくご質問にはお答えし ありのままの姿をお見せするように。」
「おそれながら」宰相が立ち上がって発言する。
「魔王討伐の件はいかがなりますでしょうか?」
「天候の乱れは いつただされるのでしょうか?」公爵が立ちもせずに発言する
「無礼者 控えよ。」王は一喝した
「神子様が 視察を終えられたのち 我らを救うに値すると判断なされたのち
我らの処遇が決まるであろう。
今はまだ この地の乱れを天はお怒りだ。
我に 神子様を案内することを許された天の御慈悲に満足せぬ不届き者は報いを受けよ」
王が指さすと 衛視たちが宰相と公爵をひき立てて行った。
私が横を向きウィリアムと目をあわせると 彼は目礼し
「神子様の慈悲により 宰相は自宅謹慎 不敬な態度をとった公爵は入牢とする」と宣言した。
王宮謹慎ならば 王宮内の貴族用の牢(割と良い部屋)での尋問だが
入牢ならば 地下牢に閉じ込められての尋問である。
(神子にかこつけて ウィリアムに敵対するものを入牢させてしまったよ><)
ウィリアムは 私の手をとり 王座の横にある豪華な椅子に私を座らせた。
「では これから少しの間、我への発言の自由を許す。しかし神子様への質問や請願は許さぬ。
天より御光臨下さった神子様は心のままにふるまい、神子様の問に答えるのが我らの務めなのだから」
大臣や神官たちは
「発言がないようだな。 では解散だ」と王は宣言し 私の方に顔を向けた。
私は軽く微笑み、二人同時に立ち上がって並んで退出した。
後ろからは 魔法剣と杖を捧げ持つ ドローが付き従った。
・・・・・
私の部屋は ウィリアムの寝室の隣の角部屋に決まった。
ここも二間続きの浴室つき 国王の部屋そっくりだった。
何でも国王は暗殺防止のために そっくりの寝室を 廊下の突き当りに2部屋・向かい合った位置に二部屋づつと合計6室もっており
ふだんはそれらの部屋を泊まり歩き 王の中には愛妾や近習にそれらの一部を貸し与える者もいるそうだ。
「ウィリアムあなたは?」
「俺はまだ即位して1か月たっておらんから つきあたりの2部屋しか使ったことはない」
「即位して1か月ということは 喪中ですか?」
「父が死んだのは2年ほど前 その後この国は外敵に蹂躙され 国土回復が半年前
俺が即位したのが2週間前だ。詳しい歴史は だれか専任の者を選ぶからそのものに聴いてくれ」
「はい」
(なんか とんでもないところに来ちゃったなぁ)
「ドローと相談して 日課を決めてくれ
それに合わせて教師の手配をする」
「ありがとう お願いします」
「お前が口癖のように言う『ありがとう』と言う言葉は 気持ちが良いな。」
「そ そうですか。」
「気にするな。ただの感想だ 聞き流して欲しい」
「はい」
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