第10話 靴のフィッティング
「悪いが 俺と一緒にいる時は 男の恰好をしてくれ。ドレスの着付けも髪結いも俺には無理だ。男の服装なら 髪型はオールバックで良い」
「了解」
「それでは 時間が押している。せかすようで悪いが 今すぐここを出るぞ。帽子を持って出よう」
「部屋の鍵は」
「俺が外からしめてやる」
「部屋の窓を閉めてきます」
駆け足で窓の鍵を確かめて回った。
塔の階段下り、帽子をかぶってウィリアムの半歩後をついて歩いた。
私の後ろには 王の侍従と護衛が付いてくる。
「お前の身ごなしは 駆け出しの女騎士と言っても通りそうだぞ」
「この国の女騎士はどれくらいいます?」
「あいにく騎士は男ばかりだ」
「そうですか」
足早に城壁を出て 近くの店の戸をウィリアムはトントン叩いた。
つっかえ棒を外す音がして すぐに中に招じ入れられた。
「悪いな こんな時間に」
「なんのなんの ささこちらに」
椅子に座らされ 膝下まであるロングブーツのサイズ合わせだ。
3足勧められた中で 一番シンプルなデザインの柔らかい素材のブーツを選んだ。
「さすがお目が高い。これは 子羊の皮に防水性の高い新素材を使った靴底を使った最新作でございます。」
「室内用の靴も頼む」
5種類ほど並んだうちから、つま先とかかと回りがしっかりとして甲と側面が柔らかい靴を選んだ。
室内履きとはいえ しっかり紐靴なのだ。
かかとと靴底は軽くクッション性があるなぞの素材だ。
ロングブーツも室内履きも 試し履きをしてしばらく歩き回ってから決めた。
室内履きは包んでもらった。
これはウィリアムの従僕が運んでくれることになった。
満足そうな顔のウィリアムと共に靴屋を出た。
「では 食事会に行こう。出席者の一人は メサイアのはずだ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます