第9話 侍女決定
「とりあえずお座りください」
「うむ」王様は どっかとソファに座り サンドイッチをつまんだ。
「服をありがとうございます。王様は帽子をかぶっていらっしゃいませんが
私も この帽子はかぶらないほうがよろしいでしょうか?」
「俺のことはウィリアムと呼べ」
「部屋の中に入るときは 帽子は侍従ががもって廊下で待っている。
塔の中は狭いから 今は塔の下で帽子を持った侍従が待っている。
だからお前も帽子をもって下におり、外に出たらかぶるとよい」
「はい」
「私の着付けで正すべき点は ございますでしょうか?」
きおつけの姿勢で立っている私を見て ウィリアムは「問題ない。
お前は 騎士だったのか?」と尋ねてきた。
「いえ 学生でした。」
「その割には 身ごなしと言い その着付けといい 騎士のようだ」
「私の故郷に 騎士はいません。騎士階級もありません」
「ほほう。興味深い話を色々聞かせて欲しいが さしあたって急ぎの案件から話していこう。あの侍女はどうだ?」
「この籠に 湿ったバスタオルを入れて持ち帰ろうとしました。
清潔な服を入れるかごと汚れものを入れるかごを同じにするのは不衛生だと言ったら、この籠は王様からの贈り物だから清潔だといいはりました。」
「中の会話は丸聞こえだったからな。あの侍女はこの籠をネコババしたかったのだろう」
「じゃ 外で聞いていたウィリアムは あの者のことをどう思います」
「俺なら首にする。あの侍女の代わりに俺をやとう」
「つまり陛下が 私の侍女兼護衛になると?」
「そういうことだ」
「で 夜はどこで寝るのです?」
「とりあえずは このソファで良いぞ」
「この部屋以外の場所にいる私を覗いたりしないですよね?」
「当たり前だ! お主に死なれては困る!」
「わかりました 当面 護衛兼侍女役をよろしくお願いします」
「引き受けよう」
「でも 王様のお仕事はだいじょうぶなのですか?」
「今はな」
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