第36話 各国






フォルテム王国 


 「この度ミジュア王国が国外に発表した廃ダンジョンの話の信憑性はどうなのだ!?」


 「ううむ・・・、まことの可能性が高いですな。廃ダンジョンがどれ程の年月が経とうと、異常な魔力が消えないのは常々冒険者ギルドが全ての国に警告を出しておりましたからな・・・。」


 「我が国には廃ダンジョンが2つ既にあるのだぞ!!」


 「現在生きているダンジョンは2つ・・・。これが全部廃ダンジョンになってしまいましたら、20年に一度現れている悪魔ドゥルズーヤーと45年に一度現れる悪魔ムーシュ以外にもう2体現れる事になりますな。」


 「ーー今のうちに討伐は可能か?」


 「何度か我が国の騎馬隊と魔術師団、冒険者で挑んだのですが、全く歯が立ちませんでした。」


 「小国のミジュア王国は倒したのであろう?間諜をやって聞き出して来るのだ!!」



 「ーーかしこまりました。」



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クロスティア王国


 「以前より現れる悪魔は廃ダンジョンから出てきていたのですね。」


 「そういう事でしょう。我が国はダンジョンが2つ、その内の1つが廃ダンジョンですから他の国に比べると倒し易くはありますが・・・。今までどの国も悪魔を倒すことが出来ませんでしたからね。大国ゼフですら・・・。良くミジュア王国は気付き退治出来ましたよね?」


 「こちらから親善大使を送り、詳しい話を聞かせて貰わねばならんであろうな・・・。しかし、小国で大した交易品も無い国でしたから、どの国も蔑ろにしていたのがこんな所で仇となるとは皆思っていなかったでしょうな。」


 「そうですね・・・。我々もある程度は国交がありますが親しい間柄ではありませんからね。」


 「万が一、倒し方がミジュア王国の機密であった場合、教えて貰える国は無いかもしれませんな・・・。その時は自力か・・・。厳しい戦いになるであろうな。」


 「では、私が親善大使として行って参りますわ。」


 「そうですね、王女であるミレーフィ様が参られた方が印象が良いでしょう。」



♢♢♢♢♢♢♢♢




レメヴァーレ王国



 「・・・困りましたな・・・。」

 「我が国の誇る魔術師軍では倒せんのか?魔術師団長?」


 「恐れながら、我が国に5年毎に現れる悪魔タローマティは人間の心を操ってきます故、どこに本体がいるのかも分からぬまま奴によって起こされた暴動を止める事しか出来ませぬ。」


 「しかし、これでこちらから倒しに行けると言うことが分かっただけでも良かったのではありませんか?」

 「そうですな、ここで倒せば5年毎の国民に流れる血が無くなるのだからな。」


 「ダンジョンとは厄介な物だな。魔物が一定数現れ、貴重な資源を落とすから見逃していたが・・・悪魔の住処になっているので有れば、今あるダンジョン2つも廃ダンジョンにしてしまっても良いかも知れんな。」


 「そうでございますな。資源の為に多くの国民が命を落とすのならば何の意味もありませんからなぁ。冒険者はダンジョン潜る以外にも仕事はございますし、倒せたらしばらくは国が依頼をギルドに出すのも良いでしょう。」


 「そうと決まれば、ミジュア王国に討伐協力を依頼せねばならんな。今まで素通りして来た国にお願いする事になる。宰相何かミジュア王国が引き受けてくれそうな条件を考えておいてくれ。

決まり次第、ミジュア王国に親書を持って行くのは魔術師団長に頼みたい。絶対に失敗は許されないのだ、頼むぞ?」


 「命に代えましても必ずや。」



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ゼフ王国



 「ーー貴様らはあんな力も無い小国に先を越されたと申すのか?」


 「っ!!・・・はい、左様にございます。殿下。」


 「聞けば冒険者ギルドは廃ダンジョンを警戒する様に、既に3年前には報告を上げていたらしいな。その歳月が有りながら、我が国の軍部は手も足も出なかったのか?いや、何もしなかったのか。ーー弁明はあるか?」


 「め、面目次第もございません・・・。」


 「我が国の3つあるダンジョンは全て巨大だ。そして、一際広大なザレッタのダンジョンがある・・・。しかも、我が国のダンジョンは廃ダンジョンが一つもないのだぞ。3つ全てが廃ダンジョンになったら我が国・・・いや、恐らく全ての国が滅ぶであろうな。」


 「そうだろうね。ダンジョンの大きさが悪魔の魔力に関係しているのならば、まず殿下の見解に間違いないよ。早くミジュア王国に倒し方を・・・いや、協力して貰うべきだね。」


 「ーほぅ?賢者、お前はあの様な小国に対して我が国の王に頭を下げろと言うのだな?」


 「王サマが1刻の恥をかいて多くの民が救えるのならば、そんな恥は早々に捨てる事だ。王サマが賢王でありたいのならだけどね。」


 「はぁ・・・。宰相、先程の事で気を悪くするな。少し気が立っていただけだ。」


 「ご配慮恐悦至極に存じます。」


 「ーー後は誰が使者に向いているかであるな・・・。そう言えば、以前からミジュア王国は我が国と同盟を結びたいと申しておったな?では、ミジュア王国が有事の際は我が国が全面的に支え、向こうは我が国の廃ダンジョンの討伐協力を全面的に行うという事でどうだ?」


 「うーん・・・。どうだろうね。ミジュア王国は既に大きな軍事力を手にした可能性が高いんじゃないかな〜?じゃなきゃ、悪魔倒せないでしょ?さっき2体目倒したって話、僕が放っていた間諜からの鳥が伝えて来たし。」

 「何っっっ!!?」

 「なんとっっ!!」

 「そうゆー事だから、もっと相手が得する事じゃ無いと難しいよ。なんせ強大な力を持つ悪魔の討伐協力だよ?同盟位じゃ割に合わないでしょ?」

 

 「んん・・・。同盟以外は向こうの要求を呑むしか無いな。ーー賢者、お前に行って貰うのが良いと思うのだが、どうだ?」

 「そうだね、僕が適任だろうね。行ってくるよ。」


 「お前が良いと思う要求は呑んで良い。国王陛下には私が伝えておく。これはこの星に住まう物全ての大事である。ーーくれぐれも頼んだぞ。」







ーー各国の要人達は終末を感じ始めた。







 

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