宇宙の片隅で謎を解決します

六林 麻耶千船

第1話ある同居人の朝

私の日々は普通の日と異常の日とでできている。私の名前はカイナ。宇宙の片隅の何でも屋と呼ばれている。私自身はそう思ってない所もあるが。さて、朝起きてこんな事を思うのも不思議だがまあ気にしない。そろそろ同居人の奴らが私を起こしに来るだろう。

「おい、カイナ早く起きろ。」

スイナの声だ。まだ朝の4時だというのに。こいつはいつも早く起きすぎだ。こちらまで付き合わされるのははっきり言って癪にさわる。

「スイナ、もう私は起きているぞ。また変な事でも起こったのか。」

「いや何も起こってはいない。ただ、いつもより朝日が綺麗だから見せようと思っただけだ。」

「そうか、分かった。ただし、少し時間はかかるぞ。女性は起きた時が一番めんどくさいからな。」

「了解した。丘で待っているぞ。」

スイナはそう言うと丘へと向かって行った。やがて足音は聞こえなくなった。私は着替えながら思った。どうせレゴンは見には来ないだろうと。レゴンはスイナと違って面倒臭がりの塊だからだ。どうせ今日のような普通の日は午後1時くらいまで寝るのがいつもの事だ。そんな事を思いながら布団を片付けた。そして、家から少し離れた小高い丘に向かった。あそこは周りを一望するのに打ってつけの場所だ。私がその丘に着くと驚いたことにそこにレゴンがいた。スイナも大分驚いた様子だった。スイナは肩に付くか付かないかぐらいの朱色の髪に良く合った朱色を基調とする着物を着ていた。レゴンは黒い服と黒いズボンに黒いコートを着ていた。二人ともいつもの格好だ。まあ私も普段と変わらない白いセーターに黒いコート、タイツにショートパンツという出で立ちだ。私はレゴンに

「レゴン、なぜお前がいる。どこか体の調子でも悪いのか。」

と言いながらレゴンの額を触った。別に熱が出ているようではなかった。そんな事をしているとレゴンが

「カイナ、失礼にも程があります。僕だって時には普通の日でも早起きしますよ。さっきスイナにも同じ事されました。」

と言いながらやれやらといった感じで手を振った。それと同時に赤い髪も靡いた。はっきり言ってやれやれなのはこちら側だ。いつも突拍子のない行動ばかりするからだ。そんな事を考えているとスイナが呆れた様に言った。

「せっかく綺麗な朝日を見せてやろうと思ったのになぜいつものようにゴタゴタになってしまうのだ。」

するとレゴンが

「スイナは神獣の化身だから僕達のような考えは持っていないのです。」

とどや顔で言った。だから私は

「レゴン、そこはどや顔で言う事ではない。そもそも私とお前を一緒にするな。私はこれでも龍の化身だ。」

と少し声を大きくして言ってやった。だがレゴンはふてぶしく

「でもカイナはスイナの様に超特別な力は持ってないです。」

と言ってきた。確かにスイナの様な力はないがそれでいいと自分では思っている。だから少しの間口論が続いたがスイナの激昂で朝日を見る事になった。確かにスイナの言う通り朝日はとても綺麗く神秘的だった。ここ、ベルバロナ星はスイナ、レゴン、私達の育ての親、赤龍そして、私の四人まあ人と数えていいのかは分からないがしか住んでないが私はこの四人といるのが大好きだ。だからこそ赤龍はいないが、珍しい普通の日に三人で綺麗な朝日をゆっくり見られるのはとても楽しい。もしかしたらスイナも同じ考えだったかもしれない。それに明日は異常な日かもしれない。そう考えるとこの普通の一日を大事に過ごすべきだと思えてくる。私の思っている事が通じたのかスイナとレゴンが私の方を向いて笑ってくれた。

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