*BiologyだってScience!

本作に出てくる生物学の用語を解説します。


・メンデル遺伝の法則

優性の法則:対立遺伝子を純系にもつ系統を交配すると、一方の形質のみがその子に発現する。発現する形質の事を優性の形質、発現せずに遺伝子のみ継承される形質のことを劣性の形質と云う。

分離の法則:2種類の対立遺伝子は別々に配偶子へ分配される

独立の法則:ことなる遺伝子は他の遺伝子とは独立して分離する


 染色体の乗換えは、分離の法則ならびに独立の法則の上位に位置する現象である。なお、"優性劣性"と云う言葉が、生物学の勉学の足りない者達に遺伝形質の"機能"の優劣を現わすと誤解されることがあるため、"顕性潜性"という表記への置き換えが進行している。

 本作品ではこの言葉が出て来たかどうか、さて、どうも記憶が定かではありませんが、作者の気持ちは顕性潜性です。


・遺伝的実験圃場

 遺伝現象、特に複数世代にわたる形質遺伝の追跡のため、生物を栽培保養する決められた区間のこと。


・三毛猫の遺伝学

 哺乳類の毛色を決める主要な色素はメラニンであり、黒~黒褐色を呈するユーメラニンと、褐色~橙色を呈するフェオメラニンの2種類がある。メラニンを体内で合成する過程には複数の酵素が関わり、それぞれの酵素をコードする遺伝子には多くの対立遺伝子があることが知られている。この対立遺伝子の組み合わせによって、色彩の濃淡や色味の変化にバリエーションが生じる。

 猫のX染色体上には、このメラニン色素を合成する酵素の1つであるO遺伝子が存在している。優性遺伝子Oが黒を、劣性遺伝子oが茶色を発現するため、X染色体をヘテロにもつ雌、もしくは配偶子形成過程で染色体不分離を生じたXXY雄のみが黒と茶色を同時に発現できることになる。なお、白色を現わすS遺伝子は、常染色体上に存在する。

 日本人の色素細胞はほぼユーメラニンを発現させるが、地域によってはフェオメラニンを合成するヒト集団が存在することが知られている。

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