第37話 自由に決めていいのにその自由に悩む
異世界。
異世界とは文字通りこちらの世界とは異なる世界。
だから異世界だ。
現実世界の我々はそんな異世界に行くことはできない。
未だに3次元と時間が加えられた世界に閉じ込められている。
4次元の世界にも5次元の世界にも行けやしない。
異世界なんて夢物語だ。
そんなボクらは頭の中で異世界を想像する。
想像の中では、現実世界では到底お目にかかれないものが存在している。
魔法が使えたり、竜が存在していたり。
中には、神という存在が実体となって存在しているのだ。
そう、ボクらは自由に異世界を創造できるのだ。
自由…なんでもありなのだ。
それなのにボクは何かに縛られている。
異世界。
ボクはまずその言葉を聞いただけで、中世ヨーロッパを小奇麗にした世界を思い浮かべてしまう。
…いや、もっと的確に表現しよう。
ボクは中世ヨーロッパを目にしたことがない。
ボクが異世界と聞いたら、まずドラクエの世界観を真っ先に思い浮かべるのだ。
だって小さい頃に世間からさんざん英才教育を受けてきたのだから。
そして、いろんな異世界モノの作品を見てきたおかげで、異世界はドラクエ風の世界だと定着してしまった。
まぁ別にそれはいいのだ。
これはもう一種の常識みたいなものだから。
でも問題はここからだ。
ボクがその異世界のことを想像すると、変なところで止まってしまうのだ。
「トイレ?異世界のトイレ?えっどうしよう?」
さらっと1文で出すだけなのに。説明書きなんて書かないのに。
結局、古代ローマ帝国のトイレを調べたりしていた。
他にも、
「宿屋や民家のベッドってちゃんとしてるのかな?ふかふかなのかな?シーツ、シーツはちゃんとしているのかな?」
自分が実際に泊まるわけでもないのに。
あとは風呂事情だ。
「あ、やべぇ。風呂入らずに寝ちゃってる。体ベタベタなはずなのに。そもそもな話、お風呂ってあるのかな?」
「………」
別にいいじゃん!!異世界だもん!!
風呂があってもいいじゃん。なんなら銭湯もあっていいじゃん。
ベッドだってシーツがしっかり取り換えられてて、トイレも洋式だって。
自由に考えればいいじゃん!!
自分の想像の中だもん!!
何をボクはこんなに縛られて窮屈でいるんだろうと。
まぁこれは、無意識のうちにバランスを考えているのだと思う。
「なんで文明が進んでないのに、トイレだけ時代の先を行っているんだ?」
とブレーキをかけているのだと思う。
こういうところがまた縛られているのだ。
「そんなことを考えるくらいならもっとストーリーを考えろ!!」
とキャラクターたちに突っ込まれそうだ。
現実世界で自由に生きるのが難しくて、そして想像の中でも自由に考えることが難しいと感じる。
自由ってなかなかハードルが高いなぁ。
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