第32話 つなぐ

文と文を繋ぐのは接続詞。

 パイプとパイプを繋ぐのはジョイント。

 建物と建物を繋ぐのは渡り廊下。

 あの子とあの子をくっつけるのは恋のキューピッド。

 神経細胞と神経細胞の情報伝達するために使われるのはシナプス。

 …キューピッドからちょっと無理があったな。


 しかし、ボクのシナプス。誤作動を起こしてはないだろうか?

 情報伝達がなかなか上手くできていないようだ。

 自分の内にある構想が思うように表現できない。

 ホント、シナプスには困ったものだ。

 まぁこんなことばかり書いているといつかシナプスに反旗を翻されそうだ。

 手を動かそうとして足が動いていしまいそうなのでここいらで止めておこう。


 文と文を繋ぐ接続詞。

 まだまだ適格なものを選択しているとは思えないのだが、まぁとりあえずそれらしいものは選んでいるつもりだ。

 なんとかなってると思う。


 ボクが悩んでいるのは接続詞ならぬ接続文だ。

 接続文。今勝手に思いついた言葉だ。

 内容と内容を繋ぐための文と思っていただけるとこれ幸いだ。


 ボクはお話を書いていると、

「あれ、ここから…なんか話飛んでない?」

 こんなときは絶対にそのまま放置しないようにしている。

 話の内容が頭の中に入っている本人が飛んでいると思うのだ。

 初めて目にする人なら尚更飛んでいると感じるはずだ。

「飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで…」

 昔こんなような歌があったような気がする。


 こういう時はとりあえず書く手を止めて初めから読み返してみる。ついでに頭の中も整理できる。

「あぁ~こうなって…うんうん、あぁ~…あっ!!飛んでるわ」

 ほぼ100%飛んでいるという結論に至る。

 こうなると、内容と内容をつなぐ接続文を考えることになる。

 これが少々厄介だ。


 まず、すっと出てこない。簡単に文が思いつかないのだ。

「こことここを繋ぐだけなのに…なんで簡単に出てこないの?」

 ボクは息詰まる。

「神は細部に宿る」

 こんなカッチョイイ言葉があるがこれは全然細部じゃない。


 なんとか内容を繋げるための文を思いついた時、次の問題が起こる。

「んあ~、やっぱりこれ後ろの部分書き直した方がいいよね?」

 これが決まったように起こる。

 せっかく積み木を積み上げたのに…

「崩すかぁ~」

 この気持ちになるまで少々時間がかかるのだ。

「はぁ、めんどくせっ」

 この気持ちがボクの邪魔をする。

 ここだけの話、ボクはこの「面倒くさい」が人類にとって最大の敵ではないかと思っているほどだ。

 そんな面倒くさいになんとか退散してもらって文章を直す。

「より良くするため、より良くするためだ」

 そんなことを呟きながら文章を直す。


「こんなに腰が重たいのはボクだけなのだろうか?」

 面倒くさいに取り込まれ、面倒くさい人間になりつつある自分を憂いながらこの記事にピリオドを打つ。

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