第22話 隣の芝生は青く見える
それは突然やって来る。
ふとした瞬間に思い浮かぶ。
今書いているお話とは全く別…新たなお話の原石が思い浮かぶ。
「あっ、これいいな~!!」
ボクは手を止めてしばしば妄想にふける。
「これがあーなってぇ~、んでもってぇ~」
ボクの妄想は止まらない。
「やべぇ、これめっちゃおもしれぇ~じゃん!!」
遂にはニヤニヤし出す始末。
そしてボクはアイデアノートに書き記す。
しかしボクはこのとき、一種の罪悪感のようなものを感じる。
脳内ではこんなやり取りが繰り広げられている。
「ドドドドドドドド…!!」
どこからともなく現れる。
今、書いているお話のキャラクターたちが猛抗議してくる。
「おい、分かってるよな!?」
「…えっ?なにが?」
「おめぇ~ただでさえ、今にっちもさっちも、どうにもこうにもなのに…さらにまた新しい作品始めたらどうなるか分かってんだろうなぁ?」
「わ、分かってるよ~。ちょっと妄想しただけだよ~。それにいつかこのアイデアが使えるかもしれないし…」
「…ならいいけどよ~…もう一度言っとくぞ!!おめぇ分かってんだろうなぁ?」
「はい…」
脳内会議は一方的に終わりを告げる。
現実世界でも、妄想世界でも、隣の芝生は青く見える。
「もしかして俺はとんでもない名作を思いついちゃったんじゃないの?」
妄想段階ではいつもそう思ってしまう。
しかし、ボクは忘れているのだ。
今書いているお話も最初はその妄想の中から生まれて、
「これは絶対に面白いぞ~!!絶対の絶対の絶対に面白い!!」
そう思って書き始めたのだ。
後は書くだけ。そう書くだけなのだ。
「隣の芝生を見ている暇はない!!」
「見なきゃいけないのは、隣じゃなくて目の前だ!!」
キャラクターたちはきっとそう言いたいのだ。
妄想はなるべく寝る前だけにしよう、そう心に決めた。
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