第16話 クラッシャー

 自分のお話を創る姿を言い表すなら「クラッシャー」という表現が的確だと思う。

 ボクはいつも壊している。

 第16話の内容と少し被るのだが、ボクの思考という宇宙の中では、一つの星(エピソード)がすんなりできあがるわけじゃない。

 形になるまで何度でも壊す。


 星(エピソード)を創るためにアイデアというパズルピースを繋ぎ合わせて行くのだが、これが1回で繋ぎ合わさることがない。

「全然合わない」

「あれ?そもそもパズルピースねぇじゃん!!」

 そんなことがほとんどである。


 創っては壊す。創っては壊す。

 それを繰り返す。

 創り直して、できあがった姿を見て、

「これじゃあさっきの方が良かったじゃん!!」

 また落胆する。

 そして泣く泣くできあがった星(エピソード)を壊す。


 投稿するお話は完成されたものだが、投稿する前のWordの段階ではひっちゃかめっちゃかになっている。

 Wordのファイルの中には、

 第〇話①

 第〇話②

 第〇話③

 といったように形になれなかったエピソード(星)たちがいくつも存在する。


 ビシッと一発で決めちゃうすごい方がいるのかもしれないが、やってみてよく分かった。

「ボクにはそんなことできやしない!!」

 ボクの頭の中は整理整頓ができておらず、常にぐちゃぐちゃの状態だ。

 そんな状態でビシッと一発で決められる方がおかしい。


 ぐっちゃぐちゃの頭の中から、もう一度パズルピースを並べる。そして一つひとつ繋ぎ合わせる。

 時にはエピソード(星)の残骸を引っ張りだして、そこから新たなパズルピースを作って、エピソード(星)を創り上げていく。


「要領が悪い」

 正にその通りだ。

 でも、僕にはそれしかできないのだ。


 たった数百文字。数百の文字を羅列させるだけなのに、それがなかなかできない。

 一度創ったものを壊してまた創り直す。

 ボクにはこの作業がとても苦しく感じる。

「あ~でもない」

「こ~でもない」

 そんな思いが頭の中をぐるぐるぐるぐる駆け巡り、嫌になる。

 今のボクは答えのない答えを探しているというより、寧ろ

 「これじゃない」

 と思うからやり直しているように感じる。

 

 そんな苦しんでいるためか、書き終えた時の反動は大きい。

「あ~、できたぁー!!」

 歓喜の瞬間だ。この瞬間だけは気持ちがいい。


 苦しんで生み出したお話だ。

「俺だけはお前のことを認めてやるからな!!」

 とその瞬間だけはそんな気持ちになる。

 しかしそれでも、後日そのお話を目にすると、

「あれれれれ?」

 という気持ちになるが(笑)

 ゴールが見えていない証拠だろう。


 要領が良くなりたい けれど、ぶっ壊すことを忘れずにいたいなと思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る