第14話 ボクはハッピーエンドが好き

 これはボクが今から10年以上前に読んだビジネス書の内容なのだが、日本の庭師はすごいと世界で称賛されるそうだ。

 その理由はなぜかご存じだろうか?


 普通の庭師というのは、家主から要望を聞き、その言われた通りに仕事をする。

 その仕事の出来栄えに対し、家主は

「素晴らしい仕事だ!!」

 と称賛を送る。


 しかし、日本の庭師は違うようだ。

 日本の庭師も、家主から要望を聞く。でも言われた通りに仕事をしない。

 それなのにその仕事の出来栄えに対し、家主は

「なんて素晴らしいんだ!!」

 と感嘆の声を漏らす。


 日本の庭師は「技術」という言葉だけではそのすごさを語れない。

 家主の要望を聞いて、

「この家主は何を求めているのか?」

「どうしたら家主は喜んでくれるだろうか?」

 それを考えに考え抜いて、そして家主が考え付かないような素晴らしい庭を造り上げるそうだ。

 言うならば、技術、経験、思考の融合だとボクは思う。

 これが日本の庭師の素晴らしさなのだ。


 作家を始めとする、お話を創る方々もそんな日本の庭師と同じような気がする。


 ボクはハッピーエンドが好きだ。

 主人公たちが笑ってくれているとやっぱり嬉しい。

 逆にバッドエンドはなんともやるせない気持ちになる。

 中にはバットエンドだからこそ考えさせられる作品はある。

 しかし、やはり苦手なものは苦手で、なんとかして悲しい結末は回避してほしいと常日頃から思っている。

 

 こう聞くと、ボクがハッピーエンドを好む理由が、

 「バッドエンドではないから」

 というように聞こえてしまうがそうじゃない。

 ボクがハッピーエンドを好きな理由、それは世に出ている作品を見れば明らかである。

 それは、自分の想像を超えた最高の結末を運んできてくれるからだ。


 物語の中でいろんな問題に直面する主人公。

 もみくちゃにされて苦しみ、葛藤する。

 でもそこから這い上がる主人公。

 この展開は分かっている。分かりきっている。

 それにも関わらず、ボクの想像していた主人公よりずっとずっとカッコ良いのだ。


 だからボクの目からは自然と涙がこぼれる。思わず口角が上がる。勇気をもらえる。

 そして心の中で叫びたくなる。

 「おっしゃー!!」

 って。


 そんなお話を観終えた時はとても心が豊かになる。

 まるで、自分の心に新たなパズルピースがはめ込められたような、そんな気分にしてくれる。

「あ~、このお話に巡りあえて本当に良かった」

 そう心から思えるのだ。

 

 きっとこれは日本の庭師さんと同じだ。

 ボクには想像もできないような光景を見せてくれる。

 感動を与えてくれるのだ。

 

 だから僕はハッピーエンドが大好きだ。

 これまでも。そしてこれからも。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る