第8話 登場人物が多過ぎる

 1つの場面にたくさんのキャラが登場することはないだろうか?

 ボクはいつもその対応に困る。


 一番気を点けなきゃいけないこと、

「それはどこの誰がこのセリフをしゃべっているのか?」

 という点。

 自分の頭の中でイメージはできていても、そのイメージを読み手側ができるとは限らないからだ。


 書き手側

「イメージ→書く」

 読み手側

「読む→イメージ」


 ボクは書く側だ。

「こういうシーンを書こう」とイメージしているのだから、誰がセリフを言っているかは分かる。

 でも、読み手側は真っ白な状態でその文章を読む。

 だからいきなりセリフが出てきても、

「おいおい、これ誰がしゃべってんだよ!!」

 とパニックにさせてしまう。


 だからちゃんと誰がしゃべっているか、それを明確にしなければいけない。

 Aは

「ハンバーグが食べたい」

 と言うが、Bは

「ハンバーグよりもカレーライスが食べたい」

 と言う。しかし、

「いーえ、今日は煮物です」

 と今日の料理担当のCが言う。


 このように名前を出すことだ。

 しかし、これが5、6人になってくると、

「~は言った、~は言った。~は言った」

 これが続いてしまう時がある。

 もう書いている側の人間でさえ、

「言った、言った、うるせぇなぁ~!!」

 と思ってしまうのだ。

 読み手側は尚更うっとうしいだろう。

 登場させなければいい話なのだが、メインキャラクター故に、話の流れから登場させないなんて選択肢は選べない。 


 そんな彼らにボクは存在確認のために全員にしゃべらせることがある。

 Aは言った。

 Bは言った。

 Cは言った。

 Dは言った。

 こんな露骨じゃないけれど、とりあえず順番にしゃべらせてみる。

「これいらねぇよなぁ~」

 と苦笑いしながら書いている。


 書きながらいつも思う。

「理想は3人だな」

 3人までならめちゃくちゃ楽。気にしなくていい。

 わちゃわちゃせずにスムーズに進む。


 でもボクの技量では、登場人物が3人だとなかなかお話が広がらない。

 そうなると、登場人物を増やさなきゃいけない。


 この悩みはまるでダイヤモンドの加工のようだ。

 ダイヤモンドの大きさを取るのか?

 それとも極限まで削って美しさを取るのか?

 できる限り美しく見せたいが、そのためには大きさを犠牲にしなければならない。


 お話をスッキリ見せるために、登場人物をできるだけ抑えるか?

 それともお話を広げるために登場人物を増やすか?


 ただ自分の技量が足りていないだけなのに、最もらしい例え話ではぐらかす。

 …ペテン師である。


 それに世の作品には登場人物が少なくとも、スケールがデカくて面白い作品はたくさんある。

 

 今のボクに必要なのはもちろん技量なのだが、その前に努力しようとする心を持ちたい。

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