第27話 決意の表明
私は、今日もリンドラ様とともに執務室で仕事をしていた。
仕事を始めてしばらく経った頃、リンドラ様の手がゆっくりと止まる。
「少し、休憩にしましょうか?」
「あ、はい」
リンドラ様は、私に笑顔を向けてそう言ってくれた。
いつも通り、休憩の時間だ。
「リンドラ様、少しよろしいでしょうか?」
「はい? なんでしょうか?」
そこで、私はリンドラ様にそう話しかけた。
今日は、リンドラ様に伝えたいことがあるのだ。
「少し、話したいことがあるのです」
「話したいこと? なんでしょう?」
「えっと……本題に入る前に、一ついいですか?」
「え? なんだか、色々とあるみたいですね」
しかし、本題に入る前に言うべきことがある。この話をするにあたって、リンドラ様に一つ提案したいことがあるのだ。
「その前と同じように、敬語をやめませんか?」
「敬語をやめる……まあ、構いませんが……構わないが」
「ありがとうございま……ありがとう」
私の提案に、リンドラ様は乗ってくれた。
敬語をやめておきたかったのは、これから話す内容が夫婦になることに関係することだからだ。
「リンドラ様……ではなく、リンドラさん、今から私の決意のようなものを伝えたいの」
「決意? 一体、どういうことだ?」
私の言葉に、リンドラ様は少し驚いている。
それも当然だろう。突然、このようなことを言われて、驚かないはずはない。
だが、これは伝えておきたいのだ。私が、先日までずっと考えたことを、リンドラ様に打ち明けておきたいのである。
「リンドラさん、あなたと私は、これから夫婦になる訳よね」
「ああ、そうなるな……」
「夫婦というのは、支え合っていくものだと私は思っているわ。だから、私はあなたのことを支えていきたいの」
「支えていきたい……」
私がリンドラ様に伝えたかったのは、そのことだった。
色々と考えた結果、本人にこれを言っておくことにしたのである。
ラルリアさんに言われて、この気持ちを忘れないことが大切だと学んだ。そして私は、この気持ちを忘れないためには、リンドラ様に伝えておくことがいいと思った。
本人に伝えておくことで、その決意を忘れなくなるような気がするのだ。それに、伝えておいた方が、リンドラ様も理解してくれるので色々と都合もいいだろう。
そのような理由から、私はリンドラ様に伝えたのだ。これが吉と出るか凶と出るかは、これからの私次第になるだろう。
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