第4話 救われた者
「……そういえば、一つ気になっていたことを聞いてもいいですか?」
「なんでしょう?」
挨拶を終えて、私はあることを思い出した。
それは、リンドラ様に聞いておきたいことである。
「リンドラ様は、どうしてコルニサス家を助けてくれるのですか? 昔、お父様が手助けしたとは聞いていますが、それ以上はお父様が教えてくれないのです」
「なるほど、そのことですか」
私の質問に、リンドラ様は納得するように頷いた。
この反応なら、話してくれるだろう。
「あなたの両親には、私はとてもお世話になったのです」
「両親に?」
「はい。私は、幼い頃に両親を亡くしました」
「え?」
リンドラ様の言葉に、私は驚いた。
考えてみれば、リンドラ様の両親の話はまったく聞いていない。その時点で気づいておくべきだった。
これは少し、無神経な質問だったかもしれない。とりあえず、謝っておくべきだろう。
「す、すみません、私、無神経な質問を……」
「いえ、問題ありません。気にしないでください」
私の言葉に、リンドラ様はそう言ってくれた。
本当に、あまり気にしていないように見えるので、恐らく大丈夫なのだろうか。
「さて、話を戻しましょうか……そんな私を助けてくれたのが、あなたのご両親なのです」
「私の両親が……?」
「ええ、恐らく、あなたのお父様は、私に気を遣ってくれたのでしょうね。だから、あなたに話さなかったのだと思います」
リンドラ様から出てきたさらなる言葉に、私は再度驚いた。
ただ、このことは先程の言葉から少しだけ予想できていたことではある。
私の両親が、リンドラ様を手助けしたのは、彼の両親が亡くなった時のことだったのだ。
「両親を亡くし混乱した私を、あなたの両親は助けてくれました。あの手助けがなければ、レインズス家はなくなっていたでしょう」
「そうだったのですね……」
リンドラ様が、これ程までコルニサス家を助けてくれる理由の一端を、私は少しだけ理解できた。
レインズス家がなくなろうとしていた時、コルニサス家が手助けをしたからこそ、これ程まで手助けしてくれるのだろう。
「私があなた達を手助けするのは、当然のことなのです。私はただ、受けた恩を返すだけなのですよ」
「受けた恩を返す、ですか……」
「ええ、ただそれだけのことなんです」
リンドラ様は、私に対してはっきりとそう言ってきた。
本当に、リンドラ様は当然のことだと思っているのだろう。だが、それを当然だと思えるのは、リンドラ様のすごい所なのではないだろうか。
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