第2話
【天界にて】
「うわわわわ、寝坊寝坊!!
ったく、せっかくいい所だったのになんだ夢かよ~。
あの子一体何を言おうとしたんだろうな~。
顔がよく見えなかったのが残念。でも声は可愛かったな〜。
あれが噂の女子高生というやつか、ふむふむ」
さて、いきなりだけど、ここは天界!
天使達がゴロゴロといるまあ一般に雲がいっぱいあって白くて、つまり!
想像しうる通りの世界。で、俺の名はレミエル。
「急がないと遅刻するよ〜」
全力ダッシュで【連絡の間】に滑り込む。
「え〜、それでは次の者」
セーフ。間に合った!
詳しい説明は後!とりあえず、さっさと、慌てて、急いだふりして、前に進み出ないとな!
巨大な事務机。その後ろに大柄な中年の姿をした天使が、顔を上げ、眼鏡越しに俺の顔を見た。
彼の名はラジエル。
俺の直属の上司だ。
柔和な顔。少し後退した頭髪。その上には、天使の制服として支給されている顔の描かれた縁なし帽がちょこんと乗っかっている。
俺も同じ帽子を被っているが、14、5歳のシュッとした少年の姿の俺とラジエルとでは、随分印象が違って見える。
「さて、レミエル。前回の任務だが……。
結果として、また失敗したそうだね」
(ええええええ?なんでバレてんの??)
指摘されなければ、適当にごまかそうと思っていた俺のプランは早くも崩壊した。
さすがラジエルだ。大天使ミカエルの右腕だという噂はダテじゃない。
「え~と、アレはまあ、いろいろと不幸な行き違いがあったというか……」
ラジエルの大きなため息。
後ろに並んでいる天使たちからクスクスと笑い声が漏れる。
「まぁ、いい。次の任務だ。バベルの塔は知っているね?」
「ああ、知ってるよ〜。
今、ヒトが建ててるっていうデッカい搭だろ?」
「エルダー評議会はいずれあの搭を崩壊させるだろう」
「えっ?ぶっ壊しちまうってことか」
やれやれ。あいかわらずというか、なんというか。
“エルダー評議会”というのは、天界の最高議決機関で、イケメン”ミカエル”を筆頭に、ようするに地位の高い天使が集まって重要なことを決めるという組織だ。
神の意志を実行するのが彼らの仕事で、まぁ、たいてい浄化という正常化を図るという結論に落ち着く。早い話が「ちゃぶ台返し」だ。
もちろん、神様のちゃぶ台返しだから、そのスケールはハンパない。
マジでスゲー。
「どのような手段で崩壊させるかはまだ話せないが、いずれにせよ、人類はバラバラになり、地上は混乱に陥るだろう。しかし、それは神の望まれることではない。そこで、神は温情の余地として、希望を残されることをお決めになった」
「希望?」
ラジエルは腕組みをしながら言った。
「うむ。その者が搭崩壊後の混乱した世界を救うことになるだろう」
ふむふむ。なかなかやりがいのある任務じゃないか。
「で、その救世主ってのは、どんなヤツなんだ?」
「人間(ヒト)の子供だ」
子供ぉぉぉぉぉぉ????
おいおい、そんなヤツに世界の命運を任せて大丈夫なのかよ。
つづく!!
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