第25話

「おまえ、さっき誰と話してたんだッ?」


 ブランに聞かれ、目が泳ぐりんこ。


「えっとお~」


 チラッ、チラッ。


 こらこらこらこら。俺のほうをみたらダメじゃないか。


 フランがりんこの怪しい挙動に気がついた!


「そっちになんかいるのかッ!?」


 ブランのギョロッとした目がこっちを睨む。


 うわーっ、怖っ!


 こいつ、妙に迫力あるな~。


「ま、まさかオ、オバケ……」


 ふとっちょフィリップがパンをかじりながら震え上がった。


「それはちょっと非科学的な発想というものではないかい?」


 本から視線を上げずにウィリアムが突っ込んだ。


「そ、そうだ! わたしたち、これからレモンのところに行くの」


「わたし『たち』?」


 ウィリアムが本から目を上げる。


 しまった、というようにりんこが口を塞ぐ。


 ああ~、もう~。


「ち、ちがうのっ! わたしたちと言ったのは、アモンのことで……」


 りんこがぎゅっとフクロウを抱きしめる。


 アモンは「ホー」と苦しそうに鳴いた。


 でも、りんこの慌てっぷりにブランはますます確信を強める。


「やっぱり誰かいるんだろッ」


 ブランがズンズンとこっちに向かって歩いてくる。


 だいじょうぶ。コイツには見えてない……とわかっていても、やっぱりドキドキするなあ。


 ちょっ、近い! 近いって!


 後ずさりするが、長身のブランの歩幅は大きく、どんどん距離を詰めてくる。


「ひ、ひぇ~」


 あっという間にブランの顔が数センチのところに迫ってきた。


 そして、俺のほうに向かって手を伸ばす。


 もちろん、アストラル体である俺の体には触れることができす、手は俺をすり抜けて空を切るだけだが、それでもなんか気持ち悪い。


「あっ!」


 その様子を見て、りんこが思わず声を上げた。


 ブランがりんこを振り返る。


「どうしたんだッ!?」


「だって、ブランの手がレミエルさんの体に……」


 バカーーーーーーーーーーーーッ!!


 なんで言っちゃうんだよぉぉぉぉぉ!!


つづく!!


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