第16話
レミエルさんは言ってたよね、天使は普通の人には見えないって。
でも、レモンには見えてるんだ!よかった!
これでもうレモンに隠し事しなくて済む!
「はっ初めましてだよね」
「そう。かわいらしいわね」
かわいい!? まあ、確かに顔立ちは整っているほうだね。
「それにしても、ちいさいわね」
うん、背はそんなに高くないよね。でも、レミエルさんが聞いたらショック受けそう……。
「でも、学校に連れて行くのはどうかと思うの」
「わたしもそう思うよ。でも、私が心配だからついてくって言うの」
わたしがそう言うと、レモンはクスクスと笑った。
「いやだわ、りんこったら。またそんな妄想して」
「妄想じゃないよ!!」
「だって、フクロウが人間の言葉をしゃべるわけないじゃない、それにさん付けって変よ」
フクロウ!?
なんだ、アモンのことか!
どうやら、「あの子」というのはアモンのことだったらしい。
見えていたのは、レミエルさんの頭の上を飛んでいるアモンのことだったらしい。
レミエルさんはわたしたちが彼のほうを見て話しているので、あたふたしている。
「と、とにかく、おとなしくしているから大丈夫だって」
わたしはアモンに「おいで」と言って手を伸ばした。
レミエルが慌てた顔で走ってくる。
その後ろからアモンがパタパタとついてきた。
「どういうことだよ!! この子にも俺の姿が見えてるのか!?」
大声を出すレミエルさんを無視して、手の平にとまったアモンを優しく撫でる。
「おい、無視すんなって!!」
「うるさい! 黙ってて!!」
我慢できなくて叫んだわたしに、レモンもレミエルさんも目を丸くして驚いた。
慌ててフォローするわたし。
「あ、ちがうの。この子が耳元でさっきからごちゃごちゃ言ってくるから」
とレモンに言った。
「ごちゃごちゃってなんだよ」
「だいじょうぶ。レモンにはレミエルさんのことは見えてないから」
それを聞いて、レミエルさんはやっと理解してくれた。
でも、今度はレモンが怪訝そうな顔をする。
「見えてるわよ、しっかりと」
とアモンを指差す。
もう、めんどくさい!!
わたしは帽子を取ってアモンを頭の上に乗せた。
そして、またその上に帽子を被って中にアモンを隠した。
「あっ、もうこんな時間。早く学校に行かなきゃ!」
わたしは走り出した。
レモンが追いかけながら言った。
「ちょっと、りんこ、待ちなさいよ!その子名前は?」
「ア・モ・ン!!」
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こうしてなんとか遅刻せず、学校にたどり着いた。
「ねえ、やっぱりよくないと思うの。学校に動物を連れてくるのは」
レモンはまだアモンのことにこだわっている。
そんな会話を後ろから、聞き耳を立てている
大きな体をした人影が2人のことを見つめていた。
つづく!!
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