第15話
明るい日差しが差し込む、それはいつもの変わらぬ定番の朝日。
そして私は私立バベル高校の女子高生。
またヘンな夢を見た。
天使が来て、わたしにりんごを食べさせる夢。
「やっと起きたみたいだな」
ベッドの横に立ってわたしを見下ろしている男の人がいる男??
「きゃっ」
わたしは思わず悲鳴を上げた。
「失礼なヤツだな。俺だよ、俺」
「あ……」
夢じゃなかった〜。
レミエルさんはふてくされて横を向く。
その頭の上を小さなフクロウが飛び回っていた。
ホーホー。
「アモン、元気になったんだね。よかった」
わたしは、手の平にとまったアモンの羽根を優しく撫でてあげる。
すると、アモンは嬉しそうに目を細めた。
「りんこ〜、レモンちゃんが迎えにきてるわよ」
階段の下から叔母さんの声がする。
「えっ、ちょっちょっと待って」
すると、ちょっと機嫌の悪そうな女の子の声。
「りんこ~、今日も学校休む気?」
「レモン、ちょっと待って! あわわわわ」
こうして私は慌てて身支度を……。
「ちょっと」
わたしはこっちを見ているレミエルさんに言った。
「着替えるんだから、出て行って!」
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わたしは手早く朝ごはんを済ませると、家を出た。
外にはレモンが不機嫌そうに立っている。
「昨日は本当に心配したんだから!」
「ごめん!」
わたしは手を合わせて謝った。
「しょうがないな~」
とふくれてみせるレモン。
「じゃ、行こっか」
レモンはパッと明るく笑って歩き出した。
わたしは遅れまいとトコトコついて行く。
レモンとわたしは身長差が結構あるから並んで歩くのも大変だ。
おまけにレモンはせっかちだからスタスタ歩いていく。
チラッと後ろを振り返ると、レミエルさんが心配そうにこっちを見ながらついて来ていた。
「で、もうだいじょうぶなの? 体調のほうは」
妹を気遣うような口ぶりでレモンは言った。
「うん」
「よかった。りんこは体弱いから心配なのよ」
レモンはちょっと心配性だ。
いつもわたしが無茶ばかりするからよく叱られる。
それからわたしたちは歩きながら他愛のない話をした。
レモンとのつきあいは長い。
家が近いせいもあって、子供の頃からいつもいっしょに遊んでいた。
わたしもレモンも兄弟がいないから、お互いに何でも相談しあっている。
お父さんとお母さんがいなくなってしまった時も、レモンがずっと慰めて、わたしを元気付けてくれた。
わたしはレモンが大好きだ。
そんなレモンなら話してもいいんじゃないかな?
「レモン、あのね……」
わたしは昨日のできごとをレモンに話そうとして慌てて口を押さえた。
アッ そうだ、いけない。レミエルさんに口止めされたんだ。
「どうしたの?」
「ううん。なんでもない」
「そっか」
ちょっと納得していない様子のレモン。
ごめんね。レミエルさんのことも、黒いヤツのことも、話しちゃいけないって言われてるんだ。
その時、レモンが急に後ろを振り返って言った。
「ところで、さっきからついてきているあの子、誰なの?」
えっ?
ええーーーーーっ!?
まさか、レモンにもレミエルさんのこと、見えてたの!?
つづく!!
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