第12話

「きゃああああああああああああああああ」


 あまりにも大きな揺れに、わたしは思わず叫んでしまった。


「どうした!?」


 そこに駆け込んできたのは、レミエルさんだった。


「ちょっ、来ないで!」


 慌てて見られたくない部分を隠す。


「おっ、おうぅ、わっ、悪い!」


 真っ赤になりながら後ろを向くレミエルさん。


「りんこ、大丈夫!?」


 少し遅れて、おばさんの声がした。やっぱりレミエルさんの姿は見えてないみたい。


「うっ、うん、だっ、だいじょうぶだから!」


 揺れが少しずつ収まっていく。


 わたしは急いでバスタオルを体に巻いた。

そして後ろを振り返った。


 大丈夫かな?……。レミエルさんはあっちを向いたままのはず。


「りっ、りんこ、さっ、さっきのあれは?」


「え?、きょっ、共振だよ」


「共振?」


「共振知らないの? 塔の建設の時に起こる振動で、1日に1回起こるの」


「そうなんだ? 最初に来た時のあれも共振ということだったのか~って事はまだ時間があるということか……」


「何を一人でぶつぶつ言ってるんですか!というわけで、大丈夫だから、もう出て行ってください!」


「お、おう」


 レミエルさんはドアをすり抜けて出て行った。


 バスタオルを外し、冷えてしまった体を湯船に沈める。


 口までつかって、ぼーっとお湯を見つめた。


 もう揺れは収まっているのに、なんかドキドキが止まらない。


 なんでだろう。


 なんでなんだろう。


 わたしを心配して駆け込んできてくれたレミエルさん。


 とても嬉しかった。


 男の人にあんなふうに心配されるの、はじめてだったし。


 まあ、いきなり女の子が入っているお風呂に飛び込んでくるのは、非常識だけど。


 同年代の男の子なんてそんなもんか。


 それとも、天使だからなのかなあ。


 うーん、やっぱり男の子ってわからない。


 レモンに相談してみようかな。


 あ、ダメだ。


 レモンにはレミエルさんのことが見えないし、天使がわたしのこと守るために降りてきたんだ、なんて言ったら、頭がおかしくなっちゃったと心配されちゃうかも。


 考え事をしていたから長くお湯につかりすぎて、ちょっとのぼせちゃった。



さて、ここからは同じくドキドキがとまらない、

“俺”の話に戻らせてもらおう……。


つづく!!

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