3章 探求編
第27話 はじまりのはじまり
輪廻転生。
魂は巡る。
肉体に宿り、
生を全うし、
肉体から抜け出せし魂の記憶は消去され、
新たな肉体に宿るまで眠りつく。
繰り返し、くりかえし。
だからこそ。
魂を独り占めしている不老不死の者は生きているだけで、
人を殺し続けている事になる。
草玄もまた。
(葵は、気付いているのか?それとも今だけは忘れているのか?)
本来ならばこの世に存在していなかった空のおかげで、罪の意識が薄まっているのか。もしくは、その記憶だけが消えているのか。
だとしたら、彼女がいなくなったらきっと、また均衡は崩れる。
それも、草玄の存在が、以前よりも遥かに大きく崩れさせるだろう。
草玄自身も果たしてどうなるか。
考えてみた事がある。
十代の頃ではなく、八十代、九十代頃に、不老不死の者が現れていたのならば。
葵はその力を手にしたのかと。
死んでもいいと思っていて、手にしなかったのではないかと。
十代という若さだからこそ、受け取ったのではないのかと。
時の神に頼んで、時間の流れを変えさせようか。
実行に移した事はない。
『孔冥。死にたくない。でももう、殺したくもない』
生きる選択肢も殺さない選択肢も選んだ彼女は、
眠りにつくという結論に達した。
起きたのは、草玄、だけの影響だけではないのだろう。
それどころか、彼よりもきっと、空の存在が大きかったのだ。
生き続ける為の代償。
払い続けなければいけないのだろうか。
眠る彼女は、
生きていると言えるのだろうか。
「私は葵を殺したほうがいいのだろうか」
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